カウンセリングルームから見える風景
家族だからこそ、難しい

こんにちは。香港でカウンセラーをしている藤森です。
みなさんは、家族とのコミュニケーションって、どんな風にとっていらっしゃいますか?毎日、忙しい。一緒にいることが当たり前な家族。あらためて、コミュニケーションなんて考える機会がないかもしれません。または、離れて暮らしていても、切っても切れない関係の家族。そばにいなくても何かと接点があるだけに、つきあい方について、気にかかるところがあるかもしれません。カウンセラーとして日々、ファミリーセラピー、カップルセラピーを通してお手伝いしている中で感じることは、近しい関係だからこそ、実は、家族のコミュニケーションってなかなか難しいのだということです。

私が、カウンセラーとしてお手伝いさせていただく時には、ご夫婦や親子によって、陥りやすいコミュニケーションパターンを見つけて、具体的な改善方法を一緒に考えていくことが多くあります。

  • 夫が事務的に話せば話すほど、妻は「全然、私の気持ちがわかってない」と怒り出してしまう。感情について収拾がつかなくなる妻と、それをみて恐れをなして、ますます、必要最低限のことを、先延ばしにしてしまう夫。その態度が、ますます妻をいらだたせる。
  • 前向きに新しいことにチャレンジしていきたい親と、それに対して、不安を感じて、内にこもってしまう子ども。その様子を心配して、親は子どもを叱咤激励して、こどもはますます自分の気持ちを言えなくなる。
  • 実母からの干渉がつらいが、嫌と言えずにいる女性。距離を置こうとすればするほど、あちらからの連絡が激しくなる。遠く離れて暮らしていても、いつも束縛されているような気がして、つらい。

どのケースも、双方のコミュニケーション・スタイルの違いが、摩擦を生んでいます。そして、残念なことに、解決しようと努力すればするほど、その摩擦と心理的な距離が大きくなっているパターンが見えてきます。

今回は、コミュニケーションスキルのひとつとして、伝えたいメッセージはシンプルにするということをご紹介したいと思います。私たちは、思考・心・身体のバランスが取れて始めて、自分らしく生き生きと毎日の生活を楽しんでいくことができると思います。体調が悪くては、家族に優しい言葉はかけにくくなるでしょう。また、気持ちがイライラしていたり、不満があれば、態度や言葉尻に出てしまうのも当然です。
この無意識に影響してしまう、イライラや不満を、知らないうちに日々の会話に乗せてしまわないというのが、コミュニケーション改善のカギになってきます。

「おはよう」のあいさつも、あいさつとして伝える。眉間にしわを寄せない、声のトーンが怒っていないか気をつける。そこに、いら立ちや不満が乗せられていないか、少し気持ちを向けることで、伝えたいメッセージがありのままに伝わるように意識できます。

「脱いだものを、洗濯カゴに入れてちょうだい」という一言を伝えたいならば、それをそのままに言う。「いつもあなたはこうなんだから」など皮肉を言わない。我慢して、その一言を言わないでいて、後で「あなたは何もやってくれない」と責めたりしない。

何か話し合わなければいけない話題があるのであれば、お互いが落ち着いている時間帯を選ぶ。気持ちに余裕がなくては、よい話し合いにも、お互いが納得できる結論にもなりにくいからです。あらかじめ、「子どもたちが寝たら、あの件について話したいんだけど」と相手に伝えておくのもいいかもしれません。相手が話を切り出すのを待ち続けて、不満と怒りをぶちまけてしまうのは、避けたいところです。

今、あなたの頭の中に、コミュニケーションに難しさを感じている人が思い浮かぶのであれば、伝えたいメッセージをシンプルにすることも、ひとつの方法です。イライラや不満を日々のやり取りに乗せてしまわないことを意識するだけで、効果を感じていただけると思います。

もちろん、イライラや不満は我慢するだけでは、事態は改善しません。どうやったら、心に穏やかさを取り戻せるのか、また、身体とのつながりを持つことの心地よさを知ることができるのかについて、カウンセリングを活用していただくこともできます。また、誰しも、他人のことは、よくわかるけど、自分のことになると、よくわからなくなりがちです。コミュニケーションパターンや性格の違いについて、話してみたい。客観的な視点で、どんな風に見えるのか、話を聞いてみたいと思われたら、気軽にご相談いただければと思います。

 

Suomi Fujimori
臨床発達心理士。2012年より香港に移住。個人・カップル・ファミリーを対象としたカウンセリングを、日本語・英語で提供しています。

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