カウンセリングルームから見える風景
海外で生活するということ

こんにちは。香港でカウンセラーをしている藤森です。
海外で生活するって、いかがですか?そして、香港で暮らすのは、どんな感じですか?
海外で生活することを、楽しむことと、ストレスを感じることは、実は紙一重なことであったりします。

海外で生活していて、目新しいものにワクワクする一方で、「日本だったら、あれがあるのに…」「こんなサービスもあるのに」とため息をつくこともあるでしょう。旅行と違って、生活をする中では、日本では当たり前に進むことが、当たり前にいかないストレスはあります。たとえば、洗濯機が壊れたけど、なかなか直してもらえない。家族の多い家庭では、大ピンチな場面です。日本のように、コインランドリーも見つからないでしょう。

でも、焦りながらも、近所の人に、聞いてみたら、洗濯機を快く使わせてくれたり、近くに格安の洗濯サービスがあることを教えてくれたりするかもしれません。ピンチが高じて、助けてくれる人の存在に気づいたり、知らなかったサービスに気づくことができます。そうなってくると、洗濯機が壊れた事件も、笑い話になってくれます。

「ピンチはチャンス」とはよく言ったもので、足りないと感じるところに、実は面白さを追求する余地があるようです。香港は比較的日本の食材が手に入りやすいのですが、海外に来て、食べたいものは自分で手作りするようになった方の話もよく伺います。美味しいパンがないから、手作りするようになった人。お茶菓子や季節の和菓子を、作ってみた人。今は、インターネットでレシピを検索すると、手作りしたい人のためのレシピや足りない食材を補ったレシピをたくさん見つけることができることに、驚きます。

また、香港は、日本食や文化に興味のある方も多く、日本食の作り方や文化を教えてほしいとお願いされるかもしれません。「こんな私に、なんで、聞くの~?!」と慌てながらも、あらためて、勉強してみると、知らなかったことがたくさんあって、楽しいですね。

また、日本にいたら想像もつかなかったお仕事を、始める方もいます。たとえば、自分の身体に必要なものをやっているうちに、ヨガを教えるようになった方、自分の得意な分野で、通訳をするようになった方、日本語や勉強を教えるようになった方…。または、漢方や太極拳などを学んで、日本に帰ってから生かす方もいるかも知れません。

海外での生活は、日本で当たり前のことが当たり前でなくなる、足りないからこそ工夫をする、出番が出てくる、そんなところに、面白さがあります。そして、これを面白さと感じるか、ストレスと感じるかどうかは、実は、個人差が大きいところです。対人援助の分野では、レジリエンス(resilience)という言葉で、ストレスを跳ね返す弾力性を表現します。外から力が加わって、ゆがんでしまっても、それを跳ね返す力があれば、ダメージを受けないのです。人によって、レジリエンスが違うから、同じ状況においても、人によって、ストレスを感じたり、エネルギーを消耗される、もしくはダメージを受ける度合いが変わってくるわけです。

このレジリエンスには、自分自身を肯定的に見る、気持ちの安定、楽観性が、大きく影響をしています。そして、これらの能力は、誰しも持っているものですが、人によって発揮されやすい人と、そうでない人がいるように見受けられます。

レジリエンスを発揮するために、できることとして、以下の3つがあげられます。

  1. 体調を整える。質の良い睡眠、食事、運動を心がける。
    体調が悪くては、気持ちも明るくはなりません。もちろん、ピンチな状況を面白がるなんて気持ちには、なりようがありません。生活を見直してみることは、ストレス軽減の大切な一歩です。
  2. 良い人間関係
    当たり前のようにいる家族、同僚、友達…。言葉で伝えるのが億劫になる。それなのに、「こうしてくれたらいいのに…」と期待ばかりしていると、結果、がっかりすることが増えてしまいます。どんな関係でいたいのか、どんな風に働きかけていきたいのかを、身近な人間関係ほど、振り返ってみることも大切なことです。
  3. 自分が元気になれる時間を大切にすること
    忙しさにかまけて、自分の大切な時間を忘れていませんか?自分の本当に元気になれる時間を、きちんとスケジュールに入れましょう。そして、その時間は他のことは考えずに楽しみましょう。これが、大切な充電になって、エネルギーが満ちてきます。

「日本にあるけど、香港には、ないもの」は、確かにたくさんあります。でも、欲しいと思うものが手に入りにくい海外だからこそ、新しいことに取り組むチャンスがある。「足りない」からこそ、出番が回ってくる。

何のめぐりあわせか、住むことになった香港。このチャンスがあなたの手の中で、輝きますように。

 

Suomi Fujimori
臨床発達心理士。2012年より香港に移住。個人・カップル・ファミリーを対象としたカウンセリングを、日本語・英語で提供しています。

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