—011— 季節の移ろい

白井純子 

愛知県出身。大学では国文学科専攻。北京電影学院留学中に香港人である現在の夫と出逢う。長男を東京で、次男を香港で出産。2014年夏に9年間暮らした香港から大阪に帰国。帰国後に保育士資格とチャイルドマインダーの資格を取得し、現在保育士としてパートタイムで働いている。

シーズンは終わった。春を通り越し、夏のような陽気が続く今日この頃、ふと気付いた。今年は、ついに、インフルエンザに勝った!

最初にインフルエンザの恐怖を味わったのは5年前だ。高熱を出した長男が介抱をしている私の顔を見て怯えている。「大丈夫?苦しいの?」と尋ねる私に「母ちゃんどうしてそんなに急いでいるの?」と長男が聞くので、「急いでないよ」と驚いて答えると、「早送りみたいに見える」と言う。何か変だ。これがいわゆる『異常行動』のひとつか…と思った。

長男はインフルエンザにかかると毎回、見えるはずのないものを見、聞こえるはずのないもの聞いてしまう。高熱によるだるさや頭痛よりも、この幻覚幻聴の方が彼にとっては苦痛のようだ。自身が寝ているソファが闇の中に沈み込んでいく幻覚で乗り物酔いのような感覚を味わうこともあるらしい。2月生まれの彼は過去4年間、可哀想なことに、誕生日はいつもインフルエンザに苦しめられた。

インフルエンザの異常行動は、女の子よりも男の子に多く、ひどい場合は高所から飛び降りて亡くなってしまう子もいる。なので、絶対に目を離してはいけない。インフルエンザそのものに原因があるのか、薬に原因があるのか、まだ分からないらしく、医者にも一人にさせないように言われた。

過去数年、インフルエンザを予防すべく、予防接種を受けても、手洗いうがいを徹底しても、特別なヨーグルトを飲んでも、結局かかってしまう。なので、今年は予防接種もヨーグルトもやめた。その代わりに学校でもアルコールジェルで常に手を除菌し、こまめにお茶を飲むように指導した。

次男の通う小学校は児童数が1200人を超えるマンモス校で、毎年インフルエンザによる学級閉鎖がある。しかも、年々ひどくなっている気がする。次男のクラスも3日間の学級閉鎖になった。防げないものだろうかと、アルコールジェルを次男に持たせ、先生に「クラスのみんなで使ってください」と連絡をしたのだが、「アルコールにアレルギーがある児童がいるといけないので、クラスとしては使えない、次男だけに使わせる」という返事が来た。アレルギーのある子だけ使わないように指導してくれたら、みんなで予防ができるのになあと思ったが、学校もいろいろ大変なのだろう。モンスターペアレントにならぬよう、学校側の意思を尊重することにした。

毎年秋から予防接種に関する情報がテレビでも取り上げられ、衛生環境も極めて整っている日本でなぜ、こうも毎年毎年インフルエンザが流行するのだろう…と本当に不思議に思う。誰かがインフルエンザで大儲けしてるんじゃないか?とさえ考えてしまう。そもそもインフルエンザってどこから来るんだろう… 桜やサンマと違うんだから、シーズンっておかしいなあ。とはいえ、インフルエンザシーズンは終わった。そして長男は今、花粉症で顔じゅうグショグショになっている…もう、不憫でしかない。