—013— 第2次マイケルブーム

白井純子 

愛知県出身。大学では国文学科専攻。北京電影学院留学中に香港人である現在の夫と出逢う。長男を東京で、次男を香港で出産。2014年夏に9年間暮らした香港から大阪に帰国。帰国後に保育士資格とチャイルドマインダーの資格を取得し、現在保育士としてパートタイムで働いている。

「三つ子の魂百まで」という言葉がある。この言葉を最初に発した人物や、それを現代まで語り継いできた人々に、心から感服する。性格や趣味趣向といったものは、周りの環境にも影響を受けるだろうが、それにも増して先天的な部分が大きいように思う。可能であるならば、先祖代々遡り、どんな人物の血を受け継いできたのかを知りたいくらいだ。それほどに、うちの息子達もある特定のものに対して、強い興味を示す。

空前絶後の大スターであるマイケルジャクソンが亡くなった時、長男は4歳だった。連日マイケルの死はテレビでも報道され、マイケルの全盛期の映像を目にする機会も多かったのだが、マイケルファンだった夫がマイケルのDVDを大量に買ってきたために、テレビ画面に映っているのが常にマイケルジャクソンという状況が我が家では続いた。もともと音楽やダンスが大好きだった長男は、完全にマイケルに魅了され、寝ても覚めてもマイケルにどっぷり。気がつくと、好きな楽曲のダンスを完全にコピーしていた。思いの外、その完成度が高かったので、親としても「この子はそっちの道に進ませた方がいいのでは…」と考えてしまうほどだった。歩き始めたばかりの次男も、お兄ちゃんの影響でマイケルのDVDを好んで見ていたのだが、なぜかいつも、マイケルのコンサートで行われるパフォーマンスに登場する、マイケルに銃で撃たれて仰向けに倒れ、倒れたままの体勢で舞台袖にはけるダンサーの真似をしていた。

いつ頃この第1次マイケルジャクソンブームが終わったのか、記憶があまり定かではない。長男が幼稚園に通っている間は、続いていたような気もする。日本に帰国してすぐの頃は、鉄道が好きだの、無人駅が好きだの、違うことに熱中していた。それが、数ヶ月前に突然、マイケルブームが再来したのだ。学校の授業で必要だからとねだられた『i pad』の購入で、好きな時に好きな場所で好きな映像を見られるようになったからだろう、ありとあらゆるマイケルの映像を探し出し、再びダンスのコピーが始まったのだ。中学生になった長男の体つきは、幼稚園児だった頃の彼とは違い、同じ動きをしてもそれらしく見える。筋力もついて、できなかった動きもできるようになり、ラスベガスなどでマイケルジャクソンに扮しているパフォーマーに引けを取らないんじゃないかと、親バカなバカ親は思ってしまうほどだ。昨日はギターでマイケルの楽曲を弾き語りしてくれた。もう、こっちの道で生きていってくださいと願う。

男の子だからといって、みんなが車のおもちゃを喜ぶわけでも、ボール遊びが好きなわけでもないということは、保育士として働き始めてから感じている。パズルばかりしたがる子もいれば、ぬいぐるみに興味を示す子もいる。女の子も然りだ。好きと嫌いがどのような仕組みで作用するのか分からないけれど、遺伝子レベルで決まっていることなのではないかと思う。子どもの意思を尊重することや、大人の固定観念を強要しないことが大切だ。ある程度の自由時間を与えておけば、勝手に好きなことを見つけてくるだろう。現代社会に生きる子どもには、なかなか自由時間が得がたい状況にあることは事実だが、文化は自由時間なくしては成熟しない。人類の発展のためにも、子ども達に、そして大人達にも自由時間が必要だと思う。

話が逸れてしまったが、我が家の第2次マイケルジャクソンブームはしばらく続きそうだ。勉強もせずにマイケルの世界にのめり込んでいる。幸い宿題だけはしてくれるので、親としては放っておくことにする。好きなことをして生きていけたらそれほど幸せなことはないからだ。やるならとことんやり抜いて欲しいと願うばかりだ。