—031— これまでも、これからも

白井純子 

愛知県出身。大学では国文学科専攻。北京電影学院留学中に香港人である現在の夫と出逢う。長男を東京で、次男を香港で出産。2014年夏に9年間暮らした香港から大阪に帰国。帰国後に保育士資格とチャイルドマインダーの資格を取得し、現在保育士としてパートタイムで働いている

 香港にいた時には、外国人であることと幼い次男の世話があったことを理由に、学校のPTA活動に参加することはほとんどなかったが、帰国してからはそうもいかず、気がつくと毎年何らかの委員に就かされて忙しい。下の子が通う小学校と、上の子が通う中学校で、委員会への参加やイベントのお手伝いなどをほぼ強制的にさせられる。フルタイムで働くお母さん達でも、委員会やら地区児童会やら、在学中に一度は必ずすることが暗黙の了解で、子持ちの主婦が仕事で社会進出することって、まだまだたくさんのハードルがあるなあと思う。週に数日のパートタイムで働く私などは、委員やら役員やらの候補に挙がりやすい。そして今年は、小学校と中学校のイベントお手伝いでダブルブッキングをしてしまった。丸一日出席するはずだった中学校のイベント委員仲間に謝罪して、午前中は小学校でお手伝いをし、その後中学校に向かうことになった。数週間先ながら、この1日を想像するだけですでに疲れる。栄養ドリンクでも飲んでいかないと、目が回ってしまいそうだ。その上、長男はともかく次男を置いて1日家を空けることの不安が拭えない。私の留守中に怪我でもしたらどうしよう、地震でもあったらどうしよう。いっそのこと、香港のように子どものお留守番を法律で出来ないようにしてくれていたら良かったのにとさえ思う。

 保護者の活動はあくまでもボランティアで強制はできないはずなのだが、ほぼ義務化しているのに驚いた。そのシステムが、私などには到底理解できない形で、なぜ続けていられるのか不思議なくらいだ。小学校では毎年秋になると、クラス生徒全員の名前が載ったリストが配られ、「指名委員の推薦」を強いられる。指名委員というのは、来年度のPTA役員を選出、交渉する仕事を担う。推薦したい人にマルを付けて提出しろというのだが、ほとんどが面識のない人で、性格も適正も分からない。適当にマルを付けて提出できるのは、相当無責任な人だと思う。面識があってマルをつけたら、まるで嫌がらせだ。毎年私は、「どなたが適しているのか分からないので決められません」と書いてマルを付けずに提出している。
 新学年が始まってすぐに保護者を集めた懇談会が開かれる。新しいクラスで担任の先生のご挨拶の後にすぐ、クラス単位の委員選出が始まる。立候補から始まり、立候補がない場合には、委員経験のない人が強制的にくじ引きをし、有無を言わさずに就任だ。人付き合いが苦手な人も、親の介護で忙しい人も、シングルマザーで仕事を頑張っている人もいるだろう。「みんながやるんだから、やらないのはズルい」という気持ちの人が多いのか、その圧力のような空気が怖い。

 学校には保護者の協力が必要であることは間違いない。できる範囲で協力したいとも思う。強制という形は良くないが、かといって全ての保護者が納得できる方法を探すのは非常に難しい。学校も様々な問題が山積みで、保護者活動の改革まで手が回らない。日本は声をあげる人より、慣例に従う人の方が多いので、問題解決はますます遠のくように思う。香港では保護者活動はどのように行われているんだろう。解決策を見つけたいなあ