インタビュー くらす香港

くらす香港 伍「恩返しの気持ちでペイフォワード」 森 史香 さん


インタビュー くらす香港

 


くらす香港 伍「恩返しの気持ちでペイフォワード」 森 史香 さん

暮らしてみて見える・感じる香港を各フィールドで活躍する女性に伺いました。

「恩返しの気持ちでペイフォワード」

森 史香さん

職業:英語講師

プロフィール
東京出身。高校2年から海外へ、ニューヨーク、サンパウロを経て2011年から香港在住。「駐在ママの英語と文化のお悩み解決専門家」として英語教室「Stretch English ストレッチイングリッシュ」を主宰。英語教授法に関する国際資格TESOL保持者。趣味は読書クラブ、ヨガ。二児の母。ブログ 「香港発!笑い飛ばす力がつく。海外に住むママのための英語&文化情報ブログ」

「アメリカ→ブラジル→香港」

とにかく英語が大好きで高校2年でアメリカに留学し、大学卒業後も現地で就職、その後ブラジルで転職・結婚・出産と長きに渡って西洋社会で暮らして来ました。

(ニューヨーク大学卒業式で)

アジアで仕事がしたいというブラジル人の夫の希望もあり、私自身もその提案にピンときたので、2011年家族4人で香港に移り住みました。
当時2歳と4歳の娘たちに「香港はディズニーランドがあるところだよ」と説明すると、「あのお城に住みたい」とすんなり香港行きに賛成してくれました。香港への移住に対して、娘たちをポジティブな気持ちにさせてくれた香港ディズニーに感謝です。
香港は、日本と同じアジアなので見た目は現地の人に溶け込みやすいですし、文化的には家族を大事にするブラジルと共通している部分もあり、また多様性が認められ、日本製品も手に入れやすい非常に暮らしやすい場所です。

「仕事を始めたきっかけ」

香港での生活が落ち着いた頃、お隣の台湾人のママから英語を教えて欲しいと頼まれました。ただ、仕事をしようと決断するまでにかなりの葛藤がありました。実は、サンパウロのインターナショナルスクールで英語で社会科を教えていた時に体調を崩して、退職することになりました。その時の苦い思い出と、大人に教えた経験ゼロの自分は教えられるのかという迷いがありました。

同時に経済的に大変だった時期で、子供を学費のもっと安い学校に入れようかと夫と話し合っていました。考えているうちに変わるべきなのは子供の学校ではなく、自分だと気がつきました。出産してキャリアのブランクがあり、仕事について過去の苦い経験があったので迷いました。それでも仕事をしてみようと思えた事は、私にとっては大きな一歩でした。

そうしているうちに、他の国(イタリア人、韓国人、日本人など)のママたちからも教えて欲しいと要望があり、職業として英語と西洋人との付き合いのコツなど自分の体験談をシェアするようになり、これが現在の仕事の原点となりました。英語が第二外国語であるばかりか、ご自身が海外生活が初めてという方、また長年香港在住の方にとっても、子どもが通うインターナショナルスクールの先生に我が子の様子を聞きたい、欠席・遅刻・早退の連絡の仕方、ママ友とのコミュニケー ションなども直面する課題です。

「母国語であれば、すんなりできる会話であってもどう話せばいいのかわからない!」という方のお悩みを解決するべく「受講した直後から役に立つ」より実用的なワークショップをテーマを掲げ、毎回ごとに「受講してよかった」「とても役に立った」と言っていただけるよう努力しています。

そんな生活上の英語でのコミュニーケーションの不安を少しでも楽にするお手伝いにやりがいを感じるようになりました。

「恩返しの気持ちでペイフォワード」

実は私の父は42歳から30年間人工透析していましたが、共働きの母と一緒に協力して私のアメリカへの留学費用を出して応援してくれました。私立高校・大学を自費留学で卒業したので、家一軒建つぐらいのお金がかかりました。父は病気で苦労しましたが人工透析の助成金があったからこそ、私の留学費用を出すことができました。腎臓病患者の会もなく、税金で治療費の助成金の制度ができる前は、治療費を払えず一家心中する人もいたそうです。
いまここにいるのは両親のおかげであり、父の治療費にも使われる税金は同じ日本人の方々が払ってくださったからです。ですから、ペイフォワード、つまり自分ができることを別の誰かに返すことが私の役割ではないのかと思うようになりました。
治療費が税金から助成金として出され、それが父を救い、娘である私に留学させることができた。このめぐりめぐって私に与えられたご厚意を、私も英語教室を通してお返しをしていきたいです。

「香港のいいところ」

ブラジルにいた頃は、移動手段は車が中心で、天候などの影響で大渋滞になることもたびたびで、やりたいことや会いたい人に好きなタイミングでできない不便さがありました。

(ブラジルの夫の家族と)

でも、香港は地下鉄やバスなど公共交通が発達していて移動が楽なので、思い立ったらすぐにでも行きたい場所、やりたいことができる環境にあります。夫も私もジムやヨガに通いやすくなって健康維持がしやすくなったと感じます。ありがたいことです。

交通の便利さに加えて、治安が良く安心して暮らせることもありがたいです。以前住んでいたブラジルとは違い、昼夜を問わずに自由に移動できることや、携帯を手に持って歩いていても、なんの身の危険も感じないことなども、生活上のハードルの低さだと思います。また、ここでは同じアジア人で外見ではマイノリティではないため、ジロジロ見られたりすることなく、透明人間のように自由に行動できますし、打てば響くようにすぐに反応が返ってくるところです。

私はもともと考えすぎる頭でっかちで 「自分のこれからはどうなってしまうのか」「自分はどうしたいのか」と考えすぎるところがあります。でもスピード感あふれる香港に住むにつれ 、即行動、ひとまずやってみようと思えるようになってきました。

ブルースリーの名言にもこうあります。
“If you spend too much time thinking about a thing, you’ll never get it done.”
考えすぎることは、それを実現不可能にしてしまう。

 

「暇はすごいチャンス、退屈はゴーサイン」

極端な表現かもしれませんが、難民の暮らしと比較すると、私には住むところがあり、ベットや布団があり、家族と暮らせて、安全で恵まれた環境にいます。それに加え香港は治安良く、日本人への差別もなく、色々なことにチャンレジできる恵まれた場所だと思い、香港に来られた縁に感謝しています。

その恵まれたチャンスを活かして英語やコミュニーケーションスキルを磨きたい方のお手伝いをしていくことが、香港生活を通しての自分の役割だと思えるようになりました。私のレッスンを通して、受講者の方が香港生活の中でされた多くの体験や発見を、日本に持ち帰っていただき、その情報がまた次のどなたかのためになるというようなペイフォワードの連鎖が起きてくれれば嬉しいです。

もし香港での生活が整い落ち着いて、暇だなと思ったらそれはチャンス、退屈だと思ったら何かを始めるゴーサインなのかもしれませんね。

 

香港に関する10の質問

1、香港で一番驚いたこと/カルチャーショックだったことは何ですか?
英語が通じない場所があったこと。(チャーチャー店など)

アメリカは元イギリス領地=英語が公用語
ブラジルは元ポルトガル植民地=ポルトガル語ときたので
香港はイギリス植民地=地元の人は英語が話せるものだと思い込んでいました。
英語が全く通じない人もいると分かった時とっても驚きました。

2、香港のすごい、いいなと思うところは何ですか?
カントン語 北京語 英語が普通に飛び交っていること。
電車やエレベータで 「閉まるドアにご注意ください」が3ヶ国語で説明されているところ。そして英語でのアナウンスの時ドアが閉まりかけていること(笑)
図書館で素晴らしい質と量の英語の本が借り放題だということ。
香港の人は満員電車に無理に乗り込もうとしないこと。

3、香港のちょっと残念、嫌だなと思うところは何ですか?
接客業の人が無表情で楽しそうに仕事をしていないこと。

4、 香港で食べた物で一番番美味しかった料理は何ですか?
透明な蒸したベジ餃子。プリプリもちもち。 人参、ほうれん草、しいたけがはいっていてカラフルで、見た目も可愛らしくて好きです。

5、 香港で食べた物で「これは無理!」/苦手という料理は何ですか?
肉は全般食べないのですが、特に無理と思うのは豚の丸焼きや北京ダック。頭とかが付いていて 動物の全体が分かるものです。

6、よく買うお土産を教えてください。
全然香港でないのですが、イギリス系スーパーマーケットM&Sの食材をよくお土産にします。フォッカチアを作る粉ミックスやメキシカントルティーヤのパンなど。

7、香港に来た親戚や友達が来た時案内する場所はどこですか?
主な観光地以外では クオリーベイにあるPublicというカフェから見える景色。
One Island Eastビルの37階にあります。

8、ご自身にとってのパワースポット/好きな場所はどこですか?
アドミラルティにあるタマーパーク。夜景を見ながら友達とピクニックをするのが大好きです。

9、 香港で得た最大の財産(有形・無形)は何ですか?
起業する勇気。日本人女性で起業されている方が多いのでとても励みになります。
ダンスの楽しさ。ローカルのベリーダンスの先生に、ここ数年教えてもらっています。
体を音楽に合わせて動かす難しさと楽しさや、考えすぎにまず練習=行動する大切さ、コツコツやると 苦手な事でも出来るようになる、という経験。

10、香港で挑戦したい/やりたいことはありますか?それは何ですか?
英語がハードルになって、やりたいことが出来ない方のお手伝い。同じ気持ちで活動されている先生方とのコラボ。

これから香港に来る方・来たばかりの方へ応援メッセージ
最初の2ヶ月は特に大変だと思います。「なんでこんなところに来てしまったんだろう」など色々な感情がふつふつと湧き上がってくる時もあるかもしれません。でも大丈夫ですよ~すぐに好きに慣れなくても、真新しい景色が日常の風景になり、知らなかった人が友達になって心の支えになってくれる日がすぐ来ると思います。あっという間にこの住みやすい香港にフォーリンラブしてしまうと思います。(笑)

 

〈あとがき〉
共通の友人がいたり緩やかな輪の中で繋がりがあったのですが、面白いワークショップをされていることを知り、どうしてこういった活動をするようになったのか興味がありインタビューをお願いしました。感情豊かでテンポの速い話ぶりでメモを取るのもやっと。その中で心に残ったのはやはりペイフォワードのお話。いまの私があるのは自分の力だけではないと謙虚な気持ちになり、私ができることを誰かの役に立てたいというエネルギーをもらいました。聞き手:コンスミコ

*このワークショップは終了しました。

Apr 15, 2019

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