健康 目次
子どもの予防接種
スケジュールの目安1
予防接種は、感染症が流行することを防ぐとともに、予防接種を受けた子どもが、病気にかからないように、あるいはかかっても重くならないようにするものです。
香港では日本とほぼ同様の予防接種を受けられますが、中には日本の予防接種には含まれないものもあります。子ども自身が持つアレルギーなどの問題もあるので、医師とよく相談の上接種させるようにしましょう。
子どもの予防接種一覧表 (マチルダ病院)
接種する時期 |
香港での接種 (日本語)
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香港での接種 (英語)
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日本での接種
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新生児 | B.C.G.(結核) ポリオタイプⅠ(小児麻痺の予防) B型肝炎 第1回 HBIG(B型肝炎免疫グロブリン) |
B.C.G. Vaccine Polio Type Ⅰ Hepatitis B Vaccine① |
なし |
1ヶ月 | B型肝炎 第2回 | Hepatitis B Vaccine② | なし |
2ヶ月 | 5種混合 第1回 ・3種混合 第1回 (ジフテリア<Diphtheria> ・百日咳<Pertussis>・ 破傷風<Tetanus>) ・ポリオ 第1回 ・HIB<B型インフルエンザ> 第1回 (細菌性のインフルエンザDr.は髄膜炎の予防接種といっている |
Five In One DPT Vaccine① Polio Trivalent① Haemophilus Infuruenza Type B |
なし |
3ヶ月 | なし | BCG 3種混合 第1回 ポリオ 第1回 |
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4ヶ月 | 5種混合 第2回 ・3種混合 第2回 ・ポリオ 第2回 ・HIB(B型インフルエンザ)第2回 |
Five In One DPT Vaccine② Polio Trivalent② Haemophilus Infuruenza Type B |
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6ヶ月 | 5種混合 第3回 ・3種混合 第3回 ・B型肝炎 第3回 ・HIB 第3回 |
Five In One DPT Vaccine③ Hepatitis B Vaccine③ Haemophilus Infuruenza TypeB |
3種混合 第2回 ポリオ 第2回 ※インフルエンザ |
9ヶ月 | 3種混合 第3回 | ||
12ヶ月 | はしか、風疹 | ||
15ヶ月 | MMR おたふく<Mumps>・はしか<Measles>・風疹<Rubella> |
MMR Vaccine① | ※水痘 |
18ヶ月 | 5種混合 第4回 ・3種混合強化剤 ・ポリオ強化剤 ・HIB 第4回 |
Five In One DPT Vaccine-Booster Dose Polio Trivalent-Booster Dose Haemophilus Infuruenza Type B |
備考
・ | 公立病院や政府の「母嬰健康院」では、予防接種を無料で受けられる。(接種後もらう熱さましのシロップなども無料。) (香港で生まれた場合。また日本で生まれた場合はビザを所有していることが条件。) 内容は上記とほぼ同じであるが、一部相違点がある。(下記) ●2・4・6・18ヶ月の「HIB(B型インフルエンザ)」がない。 ●2・4・6ヶ月の「DPT」が2~4ヶ月・3~5ヶ月・4~6ヶ月となっている。(最短で2・3・4ヶ月と連続の接種も可能。) ●15ヶ月の「MMR」は12ヶ月で接種。 詳細は最寄の健康院へ。 http://www.fhs.gov.hk/tc_chi/centre_det/maternal/maternal.html (中国語) http://www.fhs.gov.hk/english/centre_det/maternal/maternal.html (英語) 健康院での予防接種の内容・スケジュールは、以下を参考にどうぞ。 http://www.fhs.gov.hk/tc_chi/main_ser/child_health/ child_health_recommend.html (中国語) http://www.fhs.gov.hk/english/main_ser/child_health/ child_health_recommend.html (英語) |
・ | 日本ですでに予防接種などを受けている場合、またはアレルギーがある場合は 接種の際に問診で必ず申し出ること。 |
・ | 香港では日本で奨励接種(接種を国が強く勧めている)の日本脳炎<Japanese B-encephalitis>、 任意接種の水ぼうそう<Chicken pox>は、上記のスケジュールにはないが、 一部の私立病院、クリニックなどで任意接種できる。 |
・ | 肺炎球菌やロタヴィールス(口服)などの新しいワクチンも、任意接種できる。 |
・ | 6種混合もあり。ただし、5種混合が主流。 |
・ | 日本に一時帰国するときや海外旅行に行く時は、季節や日本、渡航地域で流行している疾患のことも 考慮しておく。 |
・ | ワクチンは飲ませるタイプ(経口型、注射器のようなスポイトで飲ませる)と、注射がある。注射は太ももに接種するので、着脱しやすい服を着せておいたほうが無難。 尚、健康院では太もも接種12ヶ月のMMRまでで、18ヶ月は上腕部接種。 |
・ | お風呂は特に問題ない場合が多い。 |
・ | 子どもの体調によってスケジュールどおりに進まないことが多い。随時優先すべき予防接種を 医師と相談しながら進める。流行性のものによっても変わってくる。 |
私立病院/クリニックの予防接種情報ページへのリンク:
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予防接種について&スケジュールの目安2
予防接種について(Ken Health Care)
予防接種は、病気の流行するのを防ぐとともに、予防接種を受けたお子さんが病気にかからないように、または、かかっても重症化しないようにするものです。また、多くの方が予防接種を受けることで、持病をお持ち等の理由でワクチンを接種できない方をも感染症から守ることができます。
一般にはあまり知られていないかもしれませんが、日本の予防接種制度は、先進国で最低レベルです。ワクチンの種類、打ち方など世界の予防接種の常識とは外れた部分がたくさんあります。多くの国が公費で接種できるワクチン(ロタウイルス、不活化ポリオ、Hib、肺炎球菌)も日本ではお金を払わなくてはいけません。先進国ではもう使わなくなったワクチン(ポリオ生ワクチン)も未だに使い続けていますし、海外ではとっくに予防接種に組み込まれている安全なワクチンもなかなか認可されません。海外では5種混合(DPT+Hib+不活化ポリオ)または6種混合(DPT+Hib+不活化ポリオ+B型肝炎)が主流であるにもかかわらず、日本は単独のワクチンが多く、スケジュールの組み方、打つ場所、病院に行く回数など、赤ちゃんや親御さんの負担も大きいものになっています。
インターネットやマスコミでワクチンの副反応や事故の情報が流れると、親御さんとして予防接種を打つべきか不安になるのは当然だと思います。ただ、それらの情報は必ずしも正しいとは限りません。なかには医学的根拠に基づかないものや、悪い部分を強調して報じられているものも見受けられます。ワクチンを打たなければ、重い後遺症が残ったり、命を落としてしまうこともあるのです。医師としてもワクチンを接種しておけばこんなに苦しまなくても済んだのではと思う例も見てきています。
不安に思うことや質問があったら、遠慮なく聞いてください。当院は日本、香港をはじめ、海外のデータも含めて検討しお答えいたします。危険なものや副反応が接種による利益を上回るようなワクチンはお勧めいたしません。予防接種や感染症を理解し、安心、納得できたらできるだけ早い時期に予防接種を受け、お子さんを感染症から守ってあげましょう。
副反応って何?
予防接種を受けた後の生体の反応で、ワクチンにより異なりますが、一般的なものとしては、発熱(多くは24時間以内に何もしないで解熱します)、注射を打った部分の腫れやしこりがあります。多くは通常数日以内に自然に治りますので、心配はいりません。過去には重大な副反応がでたワクチンもありましたが、現在では臨床試験や治験を繰り返し、検査体制も強化され、重篤な副反応がでるワクチンは非常に少なくなりました。多くの国の子どもたちに同じ内容のワクチンが使用されています。もしも危険なものや副反応に重大なものがあれば、ワクチンは発売中止になりますし、予防接種も見合わせになるはずです。多くの国で長く使われているのは安全と確認されているからです。安心して接種してください。
予防接種を受けた後に何らかの症状が出れば、予防接種のせいではないかと疑いたくなりますが、詳しく調べてみると、ワクチンのせいではなく、予防接種の前後に他の感染症にかかっていて同じ頃に症状がでたり、事故が起こったりすることがあります(これを「紛れ込み反応」といいます)。実は副反応よりも紛れ込み反応のほうが多いと言われています。
予防接種後に何か変わったことが起きたら、まずはお子さんの様子をよく観察し、少し様子をみましょう。心配な症状があれば、かかりつけ医や接種を受けた医師に相談してください。
ワクチンはどこに打つの?
日本では子どもにワクチンを腕に皮下注射しますが、香港はもちろん、海外では不活化ワクチンは原則的に脚(大腿部)に筋肉内注射をします。特に赤ちゃんの腕は大腿部に比べかなり細く、そこへ皮下注射をすると局所反応の割合が多くでたため、他の先進国はすでに筋肉内注射に切り替えました。アメリカでは、1歳以下の子どもに腕に注射を打ってはいけないことになっています。ではなぜ日本は、あまり脚に筋肉注射をしないのでしょうか?それは昔、風邪の子どもに解熱剤と抗生剤を混ぜた注射を、頻回に大腿四頭筋(太もも)に接種していたため、大腿四頭筋短縮症という病気がよくみられました。ワクチンとは無関係で、予防接種では筋短縮症はみられなかったのですが、当時日本は、全ての注射に関して、子どもの大腿部に筋肉内注射をするのを禁止しました。その当時の法律が現在も使われ続けているのです。
筋肉内注射は、医学的には局所反応が少なく、抗体の上昇率もいいといわれています。また、痛みの神経の数からも、痛みが少なくてすみます。当院では、小さなお子さんへの不活化ワクチン接種は、できる限り脚への筋肉内注射を行っています。(ただし、世界中生ワクチンは皮下注射にすることになっています。生ワクチンはウイルスを弱毒化したものなので、筋肉でなく皮下に打った方がトラブルが少ないからです)
同時接種をしても大丈夫?
同時接種は世界中で行われています。体内でおきるワクチンに対する免疫反応は、他のワクチンに対する免疫反応と完全に独立しているので、ほとんどのワクチンは同時に、異なる部位(右手・左手、右脚・左脚など)に接種をすれば安全で、有効性にも問題はありません。これは、接種する場所が近いとワクチンの成分同士が影響し合って、抗体の上昇が悪くなる場合があるからです。また同じワクチンの2回目、3回目接種を行うときは、局所反応が出やすいので、前回の接種と異なる部位に打ちます。データでは、ワクチンを単独接種した場合と、同時接種した場合の副反応出現率はほとんど差がないとでています。これは海外でも同じです。
以前日本では、Hibと肺炎球菌の同時接種で、残念ながら何例か事故がおこりました。もともと日本では同時接種は一般的でなかったうえに、事故が起こったため、同時接種を怖がる方が増えましたが、調査結果によると、同時接種のせいで事故が起こったとは言い切れない事例ばかりでした。もし、同時接種のせいなら一定の比率(何万回に1回など)で事故が起こってもおかしくありませんが、人口が多く、同時接種も多く行われていたであろう東京都では1例も起こらず、なぜか他の地域に集中して起こりました。
医学的には問題がないとされる同時接種ですが、抵抗がある方には無理にお勧めはしません。単独接種でもかまわないと思います。
予防接種の後はお風呂に入っていい?
予防接種の後はいつもと同じ生活をしてかまいません。入浴も全く問題ありません。ただし、接種部位を強くこするのはやめましょう。また特に激しい運動でなければ、動いても大丈夫です。
追加接種はしたほうがいいの?
乳幼児・小児期に接種するワクチンの多くは終生免疫(一生免疫が続く=生涯その病気にかからない)ではありません。あまり知られていないのですが、10年位で免疫がなくなります。乳幼児・小児期に多くのワクチンを接種するのは、その頃は弱く、病気にかかると重症化しやすいので様々な感染症から守ってあげる必要があるからです。10歳くらいまで免疫が続くのはおおいに意義があると思います。しかし、それ以降の予防接種は特に決められていません。先進国では、適当な時期に追加免疫(ブースター)を行うのが一般的です。それにより免疫がさらに長く続きます。また、万一病気が流行しても、初回接種が終わっていれば、ブースターを打つだけでその病気を予防することができます。時期がきたら医師と相談し、ぜひ追加接種をうけましょう。
予防接種スケジュール(Ken Health Care)
下記の表は当院がお勧めするスケジュールです。目安として参考になさってください。
予防接種は病気が流行するのを防ぐとともに、予防接種を受けたお子さんが病気にかからないように、または、かかっても重症化しないようにするものです。日本の予防接種スケジュールとは異なりますが、香港でのスケジュールは世界標準ですので、安心して受けてください。小さいお子さんは、予防接種が予定通りに進まないことが多いものです。その時は焦らず、医師と相談して優先すべきものから受けましょう。また、アレルギーがある場合や日本やその他の国ですでに予防接種を受けている場合は、予診時に医師に必ず申し出てください。
接種する時期
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予防接種の種類
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新生 |
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1ヶ月 |
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2ヶ月 |
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4ヶ月 |
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6ヶ月 |
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1歳 |
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1歳半 |
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小1 |
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小6 |
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*5種混合: DPT+ Hib + IPV(不活化ポリオ) * 6種混合: DPT+ Hib + IPV + B型肝炎
*HPV : Human Papillomavirus Vaccine=子宮頸がんワクチン
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