絵本から得られるもの
絵本を読むこと、読み聞かせること、こんなことをじっくり考えるなんて、ひまな人だろうと思われるかもしれませんが、世の中のお父さん、お母さん、または子どもに関わる人たちにどうしても伝えたくて、分かりきったことかもしれませんが、時間を割いて読んでいただけたら、とても嬉しく思います。
プロフィール :
横井ルリ子さん 教育者教員経験を活かし、個人教授という立場で長年教育に携わる。現代の教育に疑問をもち「母のクラス」「こころのクラス」など独自の教育法を実践。最近は、読み聞かせ、読書、作文など国語教育にも力を入れている。在港16年。
『おたんじょうびのメイシーちゃん』
偕成社
ルーシーカズンズ作
五味太郎訳
ルーシーちゃんのお誕生日に、お友達がそれぞれのプレゼントを抱えてやって来ます。お誕生日会と言えば、やっぱりお誕生日プレゼントにバースデーケーキ。これははずせない。
他人のうちのお誕生日はどうだか知らないが、うちのお誕生日は一風変わっている。何が変わっているかと言えば、そのプレゼントの内容だ。子どもたちは私に、お皿洗い券やマッサージ券などをくれるのだ。うちで○○券を発行するのがはやっていることは、とうに承知していたが、私の両親も孫たちに○○券たるものを発行していることが、この度、妹からの聞き取り調査で判明した。利用券の内容も、「お楽しみ券」(父がよく行く定食屋さんで、大盛り定食を注文できる券)「なかよし券」(父と孫娘が、なかよくデートする券、デサート付き)「食べ放題券」(母が発行した券、回転寿司食べ放題、ただし同伴者がいるときには 使えない)など、品揃えも豊富である。
今日は、夫の誕生日。いつものように夫の好きなご飯をこしらえ、家族でささやかにお祝いした。子どもたちは、又、いつもの○○券を今年は有効期限付きで発行していた。少し賢くなったらしい。
「お父さん、お誕生日おめでとう!」
「みんな、ありがとう!」
その後、夫が私に向かって、「来年のお誕生日のプレゼント、何が欲しい? ずっとあげていないもんね!」と優しく聞いてくれた。私は、ブランドのバッグもフランス料理のフルコースもダイアモンドも何もいらない。来年の誕生日に、私は「おひま」がほしい。妻も母も一日辞職させてください。
私のこの発言に、家族一同、開いた口がふさがらなかったことは、言うまでもない。
2010年10月20日
ある日の日記より