カウンセリングルームから見える風景

ラブランゲージ


カウンセリングルームから見える風景

Suomi Fujimori

臨床発達心理士。2012年より香港に移住。個人・カップル・ファミリーを対象としたカウンセリングを、日本語・英語で提供しています。

 


ラブランゲージ

こんにちは。香港で、心理カウンセラーとして働いている藤森です。
香港のカウンセリングオフィスで働いて、日常の中で感じたことを、つづってみようと思います。

私の働くカウンセリングオフィスには、香港人はもちろん、育ってきた文化も、話す言葉も違う、異なるバッググラウンドを持ったカウンセラーがたくさんいます。そんな同僚と働いている際の楽しみは、ちょっとした時に、その人の、情熱や信念に触れる瞬間かもしれません。

マリッジアンドファミリーセラピストの同僚から、ランチタイムに、こんなことを聞かれました。「ラブランゲージって、知ってる?」

普段は控えめで穏やかに微笑んでいる感じの彼女が、生き生きと語りだした話は、愛情の受け取り方、表現の仕方には5つの言語があるということ、どの言語がメインになるかは、人ぞれぞれに違うという話です。その違いが、「愛されている」と感じられたり、「愛されてる感じがしない」と感じられてしまうのだそうです。(ラブランゲージの出典や詳細は、こちらを参照ください。)

その5つのチャンネルというのは、励ましの言葉(words of affirmation)、ふたりで過ごす時間(quality time)、プレゼント(gifts)、具体的に何かしてもらう(acts of service)、スキンシップ(physical touch)だそうです。

  1. 励ましの言葉(words of affirmation)
    言葉にすること、もしくは聞くことで愛情を表現したり、感じる。「褒めてくれるだけじゃなくて、その理由も具体的に聞きたい」
  2. ふたりで過ごす時間(quality time)
    ふたりでできること、共有できる時間を持つことで、愛情を表現したり、感じる。「携帯電話や他の用事は横において、自分にしっかり集中していてほしい」「共通の楽しみをもって、一緒に時間を過ごしたい」
  3. プレゼント(gifts)
    プレゼントをもらう、あげることを通して、愛情を表現したり、感じる。「プレゼントを選んだプロセス、背景、気持ちがこもっているかどうかが、とっても大事」
  4. 具体的に何かしてもらう(acts of service)
    役割や責任を果たすこと、負担なことを手伝ってもらえることで、愛情を表現したり、愛されていると感じる。「大変な時に、手伝ってくれる、代わりにやってくれると、プレッシャーや負担が軽くなって本当ありがたい!」
  5. スキンシップ(physical touch)
    身体に触れることで、愛情を表現したり、感じる。「手をつないだり、肩に手をそっと置いたり、愛情がしっかり伝わってきます」「身体が触れているだけで、エネルギーをチャージできる気がする」

どの言語がメインになるかによって、同じ言動が、愛情深いと感じられたり、そうではないと感じられることになります。そこに、気持ちのすれ違いが起こるわけです。

例えば、夫は、「具体的に何かすること」「励ましの言葉」の言語がメインで、家族を思えばこそ、一生懸命、会社で長時間働いている。でも、妻は「スキンシップ」と「プレゼント」がメインの言語なので、夫の愛情が感じられない。その結果、なんだかお互いに感謝の気持ちが伝わらなくて、コミュニケーションが上手くいかない。

この際、夫が、働いて家族をサポートしている「愛情」に対して、妻が言葉で感謝の言葉を伝える。または、妻は、自分がどんな風にしてほしいか相手に伝えることが、コミュニケーションをスムーズにしてくれるかもしれません。

妻が「結婚記念日には、二人で過ごしたい、記念になるものがほしい」など、伝えると、「具体的に何かすること」が得意な夫も、何が求められているのかわかって、もともと持っているお互いの愛情や感謝の気持ちが、もっと伝わるのかもしれません。

また、ラブランゲージは、お母さんとお子さんの関係にも当てはまります。
「うちの子は、いつまでも抱っこをせがんで困る。甘やかしすぎかしら?」と思われる方は、お子さんが「スキンシップ」の言語が、大切なタイプだからかもしれません。「スキンシップ」が愛情表現になりにくいお母さんにとっては、べたべたされるのは「甘え」。でも、もしかしたら、お子さんにとっては、身体に触れることが「愛されている」ことを確認する大切な手段かもしれません。いつも、いつも身体に触っていなくても、褒め言葉をかけてあげる時、いってらっしゃいの挨拶をする一瞬に、気持ちを込めて、身体に触れてあげたり、ハグをしてあげると、「スキンシップ」タイプの人は、とっても満たされます。

もちろん、お子さんの中には、「スキンシップ」以外の言語が、大切なタイプもいるでしょう。どんな時に、満ち足りた顔をしているのか、「どんな時、幸せ~、うれしいって、感じるの?」など聞いていると、意外な答えが返ってくるかもしれませんよ。

そして、何より、自分のタイプを知ることも大切です。

例えば、
ある人は「プレゼント」の言語が優先されていて、久しぶりに会うお友達とのランチを前に、「あの人のために、何かプレゼントをあげたい」と、そわそわしてしまう。相手の反応を見て、「意外に喜んでもらえなかったな、別のものが良かったかしら」とランチも上の空になってしまう。相手を思えばこその気持ちです。でも、その愛情、相手の人に伝わってるでしょうか?

もしも、相手が、「ふたりで過ごす時間」タイプで、その瞬間をお互いに楽しいで過ごせれば、それで十分に、愛情が伝わっているのかもしれません。むしろ、「何かあげなくちゃ、喜んでくれたかしら?」と上の空になるより、一緒にいるその瞬間に集中して、話を聞く方が相手に愛情が伝わるんだって、気づくことができるかもしれませんね。

また、私は「励ましの言葉」が大事なタイプかもと思われた方。もっと、「言葉で感謝や愛情の言葉を聞きたいんだ!」など、自分の傾向に気づくこと、それを周りの人にどうしてほしいのかを伝えていくことができたらいいですね。「褒めてほしい」というのは、なんだか気恥ずかしいけれど、「今回、頑張ったんだよ。感想聞かせて。」「今日のご飯、何が美味しかったか、褒めてもらえると、お母さん、また作ってあげるよ」など、会話の中にさりげなく要望を入れてみましょう。自分を大切にし、周りの人とより充実した関係を築いていくためのヒントになるかもしれません。

ちなみに、私の同僚ですが、彼女は「スキンシップ」と「ふたりで過ごす時間」が大切なタイプ。この話を聞いてからは、彼女とハグをするときは、「会えてうれしいよ」って気持ちを込めるようにしています。日本人として育った私、実はハグにはまだまだ戸惑うこともあります。そんな私も、「感謝の気持ちや愛情が伝わるんだ」と思うと、「ハグもそんなに悪くないかも」って幸せな気持ちになれます。

私は、「励ましの言葉」タイプ。そう考えてみると、彼女が、私の仕事内容に対して、具体的なフィードバックをくれるのが、とっても嬉しかったんだと気づきました。知らず知らずのうちに気持ちを満たしあえる関係もいいけれど、意識的に「相手に響く言語」を使えるようになるのも、うれしいことですよね。

ラブランゲージ。生活を豊かにしてくれるひとつのアイディアとして、取り入れてみると、生活を彩る喜びがまたひとつ増えていきます。

ご参までに、あなたのラブランゲージがわかるサイト(英語)もお知らせしておきます。
http://www.5lovelanguages.com/profile/
http://www.proprofs.com/quiz-school/story.php?title=whats-your-love-langugae

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