カウンセリングルームから見える風景

プラスとマイナス、見直してみたら


カウンセリングルームから見える風景

Suomi Fujimori

臨床発達心理士。2012年より香港に移住。個人・カップル・ファミリーを対象としたカウンセリングを、日本語・英語で提供しています。

 


プラスとマイナス、見直してみたら

こんにちは。
香港でカウンセラーをしている藤森です。

皆さんは、「棚卸し」って、聞いたことありますか?
企業の在庫管理、資産管理などで、使われる言葉です。
決算の時に、手持ちの在庫や資産を見直して、現状を把握します。実は先日、「私も棚卸しなくちゃ」と思う出来事がありました。

 

それは、「もっと、もっと、まだ足りない!」という感覚を手放す。もしくは「これが幸せの形で、それ以外じゃ、幸せではない」という思い込みから、抜け出すための見直しが大切かもしれないと思ったことです。

 

You are happier in HK!
(きみは、香港に来て、もっと幸せになったね)

 

知り合いの香港人に言われて、仰天してしまった言葉です。
私にとっては、文字通りのけぞって、空を仰ぎ見るくらいの衝撃がありました。

なんですって?
何をもって、そう思うの?
日本にいたら、もっと幸せだったかもよ~?!

 

彼としてみれば、
「香港での生活を楽しんでいていいね」
「香港になじめない外国人も多いけど、あなたは大丈夫そうだね。よかったよ。」くらいの軽いコメントだったのでしょう。

でも、”You are happier in Hong Kong !”は
ボディブローのようにじわじわ効いてきたのでした。

 

香港に来て4年。
家族の都合で、来ることになった私にとって
日本でやっていた仕事を辞めてくることは
とても大きな変化でありました。

「香港でも、働けばいい」
そう思って来てみたけど
広東語と普通話を話せない私には
希望する分野でのフルタイムの仕事はなく、
パートタイムの仕事をかけもちしたり
プロジェクトベースで動くことが増えました。

毎日決まった時間を拘束される働き方でないため
スケジュール帳に、すきま時間が出てきます。

そのすきまを埋めるような
予定の立て方をしているうちに
「日本で働いていたくらい、とにかくみっちり忙しいのが、いいんだ」
といつの間にか
「質より量」な感覚が、しみついていました。

 

でも、本当に、質より量で、
息もつけないほど忙しく、働きたいのでしょうか?
実は今のペースがちょうどよくて
バランスが取れているのではないのでしょうか?

フルタイムでない分
自分のペースで仕事をスケジュールを立てられる。
違う分野の人たちと会って、何か一緒にできないか話す。
コラムを書かせてもらう形で、たくさんの人とつながった。
何よりも、実感として、心身ともに健康になりました!

 

そんな風にプラスとマイナスを見直して
今、持っているものを棚卸し。
いつの間にか、手にしていたものに目を向けてみたら

実は「けっこう幸せなのかも…」と気づきました

棚卸ししなくては気づけなかったという幸せ。

「以前の自分で決めたモノサシで計ると幸せじゃないけど、モノサシ自体が古くなってるかも…」
「今の自分のモノサシでは、けっこう幸せだった!」
と気づくことができました。

 

皆さんも幸せの棚卸し、してみませんか?

ご自分で、簡単にできる方法をご紹介しましょう。
白い紙を用意して、真ん中に縦線を引きます。右半分に、以前の生活で楽しんでいたこと、大事にしていたこと。左半分に、今の生活で楽しんでいること、大切に思っていることを書きます。

コツは、なくしたもの、足りないものにフォーカスするのではなく、今、手にしているものを、肯定的に書き出してみることです。

 

人の出入りの多い香港。
せっかく友達になっても、すぐにお別れが来ると感じているかもしれません。でも、そんな激しい流れの中でしか、出会えなかった人もいるでしょう。
「人の出会いって、一期一会」と気づくことができた。
「思い切って自分を出してみた方が、自分に合う人がみつかる」、「本当に大事な人と知りあえる」と思えるようになったかもしれません。

 

あるいは、海外生活が長くて、お化粧もあんまりしなくなった。身なりに気を使わなくなったかもしれません。
「すっぴんでも、けっこうイケてるかも?!」と新しい発見をする。
「人の目を、気にしなくなった」と、心の断捨離ができる。
すっきりとできたなら、それも素敵な財産でしょう。

 

海外生活。どうして、物事がすんなりいかないんだろうと思っている方。
「日本の居心地の良さに、感謝できるようになった!」なんて感覚の変化に気づかれるかもしれません。

 

棚卸しをしてみると
日常に紛れた、大切なことが浮き彫りになります。

「家族で一緒に過ごす時間、連絡を取り合うことが増えている」
「子どもが大きくなって、病気をしなくなってきたことに気づいた」
「人の目よりも、自分の心地よさが大事」
「前は苦手だったことだけど、私、けっこう、たくましくなったかも」

 

また、幸せの定義じたいが変化しているかもしれません。

「日本にいた時より、家族との時間が大事に思えるようになった」
「すごいねって、言われないと認められた気がしなかったけど、今は自分にとっての基準ができて、楽になった」
「型にはまってないのも、楽しい」
「恥ずかしいと思わず、とりあえず、やってみた方が気持ちがいい」

 

幸せの棚卸し、いかがでしたか?
誰かと一緒にやってみたい方、
なりたい自分になるための具体的な方法をじっくり掘りさけたい方は、
カウンセリングの中で取り組むこともできます。
どうぞ、お気軽にご連絡をください。

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