絵本から得られるもの
絵本を読むこと、読み聞かせること、こんなことをじっくり考えるなんて、ひまな人だろうと思われるかもしれませんが、世の中のお父さん、お母さん、または子どもに関わる人たちにどうしても伝えたくて、分かりきったことかもしれませんが、時間を割いて読んでいただけたら、とても嬉しく思います。
プロフィール :
横井ルリ子さん 教育者教員経験を活かし、個人教授という立場で長年教育に携わる。現代の教育に疑問をもち「母のクラス」「こころのクラス」など独自の教育法を実践。最近は、読み聞かせ、読書、作文など国語教育にも力を入れている。在港16年。
再会
前号「絵本から得られるもの」、その中で私は、「たくさんの本を読むということは、すなわち、たくさんの作家との出会いである。」と書きました。
私は、娘たちに絵本を読んで聞かせるとき、必ず作者の名前も題の後に読み上げます。絵本ですから、当然、絵を描いた人の名前も。特に深い意味や目的があった訳ではありませんが、赤ちゃんのときから、ずっとそうしてきました。ただ、なんとなく・・・・です。
私が本を選ぶとき、好きな作家のものを探して読んでいたことや、自分の読んだ本の作者のプロフィールにも目を通す習慣があるので、絵本の読み聞かせでも自然とそうなっていったのかもしれません。
そして数年後。
長女が5歳ぐらいのときでしょうか。いつものように福音館から届く包みを開いて、真新しい絵本を読もうとしたときのことです。
「お母さん、ちょっと待って!!」、長女が本棚へ向かって駆け出しました。数分間本棚をあさり、私の元へ戻って来ると、満足気な笑顔でこう言ったのです。
「お母さん、この人、新しい本を書いたんだね!○○○を書いた人と同じ人だったよ。」私はこのときこんなことを考えていました。そうか、作者名を読み上げ るとき、娘は聞いていないようで聞いていたんだ。それとも、絵本作家の書く文章や描く絵には子どもたちの心を深くとらえる何かそんな不思議な力があるので しょうか。
たくさんの作家との新しい出会いだけではなく、しばらく御無沙汰だった作家との久しぶりの再会もあるんだ・・・・・ふっと吹き出したくなるようなそんなある日の光景でした。
2007年4月19日の日記より