摂食障害

不登校


摂食障害

プロフィール

みぃまま

13歳の娘が2019年8月23日から9月27日まで香港の公立病院に摂食障害で入院しました。「摂食障害」の診断を受け、何をどうしていいかわからずネットでいろいろ検索してみましたが、香港での摂食障害の情報は無に等しいほどありませんでした。精神病だから知られると恥ずかしく、内緒にする人が多いそうです。摂食障害は難病で一番死亡率が高い精神病だそうですが、早期発見できちんと治療を受けると治る確率も高いものです。娘の体験が今後同じ症状で悩んでいる在住者の参考になればという思いから、こちらで発信させていただくことになりました。

 


不登校

新しい学校の新学期は初っ端からオンライン授業で開始し、毎日参加した。
しかし対面授業が始まると、学校に行くことができない。
家は出ていくのだが、途中で引き返してしまう。
そして部屋に閉じこもり、自傷していた。
「死にたい」と言い、自殺の方法を検索している姿を見て、
もしかして鬱病ではないかと疑い、まずは学校のカウンセラーに相談した。

学校のカウンセラーに紹介してもらった臨床心理士のカウンセリングを受けると、鬱ではないらしい。摂食障害の脳の働きとも関係しているようだ。
娘は精神的には強く頑固で、自分の思い通りにいかないと自傷や脅しで自殺の真似事をするそう。
一番大事なのは学校へ通うことではなく、本人のウェルビーイングだという学校のカウンセラーは、学校へ行けない娘の元に自宅訪問してくれた。
娘が心を開くようになったカウンセラーは学校の話は一切しないそうだ。

カウンセラー曰く、9年生から11年生までの女の子は思春期で、普通でも精神状態が不安定でいろんな問題を抱えているという。娘は1年間で2度転校し、コロナの影響でロックダウンや強制隔離の引きこもり生活、さらには祖母の死などが重なり何をどう感じたらいいのかわからなくなるのは不思議ではないそうだ。今年はパンデミックで、不登校の生徒やメンタルヘルスでカウンセリングを受ける子どもが増えているそう。
カウンセラーから親へのアドバイスは
① 娘の感情に共感して寄り添い、そういうふうに感じている彼女をハグして受け入れること。
② 不登校でもきちんとした生活を送り、勉強は続けること。
③ 毎朝、学校に少し行ってみる?と声掛けは続けた方がいいそうだ。それで行けなくても、大丈夫だとそれを認めてあげること。
④ 頻繁に話かけて何に興味があるかを聞き出し、手掛かりにそれに関係することを探してみること。

臨床心理士からは娘の話をよく聞き、すべてに共感するようにと言われた。
大人にとっては些細なことでも、子どもにとっては大ごと。
登校させることに必死になりすぎて、娘の気持ちに共感しなかったことを反省した。
「新入生だから1人で座るのが嫌だ」と言うのに対して、
「大丈夫よ、すぐお友達できるから。それまで1人でもいいじゃない。」
という私の返事はNG。
「そうね。緊張するし、大変よね。」
と言ってあげればよかった。
「大丈夫」は言ってはいけない言葉、大丈夫じゃないからできないでいるのだ。
まずは本人が自分の感情に気づくことが第一ステップ。そしてそれがどんな感情であれ、それを感じている自分を受け入れる。感情には正しいも間違いもない。その後、その感情に向き合い、解決法を考える。

自傷に使った腕に焼き跡をつけたカーリングアイロンを隠し、部屋にあるカッターやハサミは処分。飲もうとした柔軟剤やブリーチも捨てた。

不登校脱却するには親のアプローチを変えなければいけないと思い
ネットでもいろいろ調べたらこのウェブサイトにたどりついた。https://www.futoukou24.jp/futoukou-dakkyaku

週2回、臨床心理士のカウンセリングと学校のカウンセラーとのセッションが続いた。
学校のカウンセラーは専門家ではないから、専門家である臨床心理士とのカウンセリングも必要とのこと。学校と臨床心理士と家庭で連携して、前進できるようにする。

臨床心理士のクリニックの待合室はいつも混んでいる。コロナでカウンセリングを受ける人が増えたという記事をどこかで読んだが、納得できる。
4~50代の男性から10代の女の子など、いろんな人がいて、セッションの後泣いている姿もある。
臨床心理士(clinical psychologist)は薬の処方ができないので、もし薬が必要だと判断された場合は精神科医(psychiatrist)に診断してもらうことになる。
保険会社によるが、メンタルヘルスの場合保険でカバーされていないところが多い。
プライベートクリニックの臨床心理士は1時間2000ドルから。
政府の臨床心理士もいるが、ソーシャルワーカーからの紹介状などが必要で、予約するのに時間がかかる。
Social Welfare Department – Clinical Psychological Services (swd.gov.hk)

香港のメンタルヘルスの団体
Mental Health in Hong Kong – Mind HK
陪我講 Shall We Talk
Open Up

数週間後、学校に再登校するにあたっての話し合いを先生たちとするため、初めて娘は下校時間後、学校に足を踏み入れた。
学校側の再登校にあたる条件としては、臨床心理士から学校に通っても問題ないというレターと、学校のカウンセラーと臨床心理士の情報交換をしてもいいという保護者の承諾書が必要である。不登校は精神状態が不安定で起こる問題なので、専門家からのオッケーが出ないと学校では責任を持てないということらしい。
先生方は親身になって考えてくれ、朝は玄関まで迎えに来る、初日は1時間目だけ登校する、途中で嫌になったら保険室に行く、先生に伝えた後帰宅してもいいなど娘も一緒に計画を立てた。万が一自傷するようなことがあったら、即病院に連れて行っていいという親の承諾と、もし両親と連絡が取れない場合の緊急連絡先も伝えた。

しかし翌朝、バスルームで腕にカーリングアイロンをあて、腕が痛いから学校に行けないという娘がいた。
焼き跡が6カ所もあり、水膨れができるほど痛々しいものだった。
その後は傷跡が醜いから人に見られるのが嫌だと言い、引きこもり生活が続いた。

臨床心理士が言うには、娘は自傷による身体的な痛みは感じていて、痛いのは嫌だという気持ちはあるそうだ。自殺する気はなく、逃避の手段として自傷しているらしい。
心が病んでいる子どもの中には、精神的な感情が無になり、身体を傷つけることでしか痛みを感じられず、それで生きていることを実感する子もいるそう。さらには精神だけでなく、身体の痛みも感じなくなり、自傷しても痛いと感じない子もいるそうだ。そういう子がいるということを想像するだけで、胸が締め付けられる。
まわりには同じように精神状態が不安定な子どもを持つ親がいて、
自分の命を自ら断つ選択をした子どももいる。

逃避のために自傷するのだったら、今は逃げさせてあげてもいいのではないか。
不登校でいい、学校に行かなくてもいい、と本気で思えるようになった。
行きたくなったら行けばいいし、行きたくないなら他の方法を考えればいい。
まだ15歳になったばかり、逃げて休めばいい。それは臨床心理士とは反対の考えだが。
それまでは再登校させることに気を取られていて、娘の話をしっかり聞いていなかったことに気づいた。娘も心は落ち着いたようで、自傷はしなくなった。
親の心の持ち方を変えるだけで、ずいぶんと気持ちに余裕ができ、ありのままの娘に向き合えるようになった。

引きこもりになりすぎないよう散歩に連れ出し、一緒に料理を作ったり、動画エクササイズをしている。
ハッピーノートというアプリをインストールし、毎日3つうれしいことを書くようにした。
小さいけどうれしいと感じることを探して、心を穏やかに過ごす。
「ハッピーノート」をApp Storeで (apple.com)

朝日の美しさに感動し、鳥のさえずりを聞き、バラのつぼみが開いたことを喜ぶ。
寝る前はアロマキャンドルをつけ、好きな音楽をかけ、家族旅行の写真を見て五感で癒される。そして1日1回は必ず、愛情をこめて、つぶれそうになるくらい大きなハグをする。

いつまでこの状態が続くかわからないけれど、今この瞬間に集中して過ごす。

見た目からは想像がつかないほど、悩みを抱えている大人や子どもがたくさんいる。
まわりの人にやさしく、そして自分にもやさしく。
がんばらなくていいこともあると思うのです。

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