ちゅったんの香港おばば
マミーと私、ときどき愉快な親戚たち
C家に嫁いで18年。オットは男ばかりの5人兄弟の末っ子。実の娘のように可愛がってくれるマミーとの関係は良好。あまり親しくない人からは「香港おばばと同居大変でしょ」と同情されるけど、この異文化交流を楽しんでます。マミーのほうがよっほど気を遣っているようです。マミーは、(ときに度を越した)世話好きで、変なところに潔癖で、義理人情に厚く、せっかちで、記憶力がよく、歴史好きで、料理嫌いで、かなり頑固で、行動力のある人だ。男に生まれた方が幸せだったかもしれない。面倒見がいいので、80歳を超えても息子たちの家族のために世話を焼いている。そのせいで、うちの家族は兄たち家族のトラブルにいつも巻き込まれている。香港では家族の付き合いが濃いので、それもしょうがない。そんな日常のエピソードを、気まぐれに連載しています。
「焗」はダメよ
香港に来る前は、どうせ暑い土地なので冬服なんて要らないだろうと思っていたら、1年目(1993年)の冬は寒くてびっくりした。当時、銅鑼湾のデパート(そごう、三越、松坂屋)ではヒーターが売っていなくてわざわざコーンヒルのJUSCO(今のAEON)まで買いに行った記憶がある。その年は特別寒い冬で、6℃まで下がり、ホームレスや老人の死者が出たほど。
香港は湿度が高いせいか気温の割に嫌〜な冷え方をする。それなのに、ヒーターどころかどこへ行ってもクーラーが付いている!!香港に嫁いで、カルチャーショックだったことの一つが、どんなに寒い真冬でも必ず家の窓を開けていること。香港人は「焗(ごっ)」な状態を非常に嫌う。「焗(ごっ)」とは何か、この字はかまどで焼く、英語でbakeという意味だけど、香港的には空気の流れが感じられないと「好焗」と騒ぎ出す。日本人だからか私は息苦しさは感じないのに、冬でもクーラーをつけたり、窓開けたりするのが、最初は意味がわからなかった。雪国育ちの私にしてみたら、せっかく部屋の空気を温めたのに窓開けちゃったら凍え死ぬーーー。今はやっと香港人の感覚が少し理解できるようになって、やっぱり寒くても窓を開けるとスッキリする。どんなときも換気第一!ずっと開けておくのは寒いので、時々開けては換気して、また閉める。
ここ数日も香港では珍しく10℃以下まで下がり、実は冬に実家の青森に帰る時と同じような格好で外を歩いている。手袋をしていたら、大Sに「香港で手袋してる人誰もいないし、恥ずかしいからやめて」と言われ、仕方なくポケットに手を突っ込んで我慢している。
マミーが家の中で着膨れ状態でも寒そうにしているのを見て、息子たちがヒーターを買ってくれたのに、普通の人以上に「焗」が苦手でヒーターつけると具合が悪くなるからと、1台目の温風が出るダイソンも私たちにくれて、2台目のデロンギのヒーターも持っていけと言う。ヒーター嫌いで、「寒い、寒い」と言いながら、「寒いのが好きなんだよね」と嬉しそうにしてるマミーなのでした。
Jan 10, 2021