ちゅったんの香港おばば

スープが肝心!


ちゅったんの香港おばば

マミーと私、ときどき愉快な親戚たち

C家に嫁いで18年。オットは男ばかりの5人兄弟の末っ子。実の娘のように可愛がってくれるマミーとの関係は良好。あまり親しくない人からは「香港おばばと同居大変でしょ」と同情されるけど、この異文化交流を楽しんでます。マミーのほうがよっほど気を遣っているようです。マミーは、(ときに度を越した)世話好きで、変なところに潔癖で、義理人情に厚く、せっかちで、記憶力がよく、歴史好きで、料理嫌いで、かなり頑固で、行動力のある人だ。男に生まれた方が幸せだったかもしれない。面倒見がいいので、80歳を超えても息子たちの家族のために世話を焼いている。そのせいで、うちの家族は兄たち家族のトラブルにいつも巻き込まれている。香港では家族の付き合いが濃いので、それもしょうがない。そんな日常のエピソードを、気まぐれに連載しています。

 


スープが肝心!

マミーは料理が苦手。物事の段取りとか整理整頓、得意なものはたくさんあるが、料理は嫌い。でも、今年次女が生まれて、お世話で大変だからと言っ て、嫌々だけど料理を作ってくれている。私たちが日本に一時帰国すると、料理したくないし、外で一人で食べたくないからと言って、いつもパンか出前一丁。 最近流行ってる低炭水化物ダイエットならぬ高炭水化物な食生活。

マミーみたいな人はまだまだ序の口で、毎日3食外食、毎日飲茶、下午茶(はーんーちゃ/おやつタイム)や宵夜(しういぇ /夜食)など健康に悪そうな食生活を送っている人がたくさんいる。おまけにこの人口密度、家賃や物価は高いし、ゴミゴミして空気も悪いのに、平均寿命は男 女ともに2位!狭い住環境に加え、年金制度、医療保険制度もないし、日本ほど老後は楽じゃないはずなのに、不思議で仕方ない。私なりに考えた結果、長寿の 秘訣の1つは、湯(とーん /スープ)じゃないかなと思う。広東のスープの特徴は、老火湯(ろうふぉーとーん)とか薬材湯(よくちょいとーん)と言って、体調に合わせた漢方の生薬と お肉(主に豚肉、魚もある)を数時間煮込んだものである。材料のエキスがスープに溶け出して肉なんか具と言うかほとんどカス。栄養がスープに凝縮されて、吸収もいいんだろう。

マミーの場合、料理は全然やる気ないのにスープには気合が入っている。スープのレシピを書きためた手帳をいつもエプロンの ポケットにしのばせて、週2回必ずスープを作る。行きつけの豚肉屋さんでその日の朝解体された肉を買い、乾物の貝柱や厳選した10種類ぐらいの薬材を寸胴 鍋で3時間以上煮込む。材料費だけで200ドルぐらいかかってる。ガス代だってバカにならない。毎回家族の体調に合わせて、今日のスープは「肺にいい」と か「美白効果がある」とか「頭がよくなる」とか熱心に説明してくれる。やる気のない嫁に見切りをつけて、最近は長女つまり孫に言い聞かせてる。覚えの悪い ママの代わりにスープのレシピや効用を覚えておくれ。

最近、湯(とーん)がらみでこんなことがあった。3番目の兄(以下兄3)は大の日本通。仕事も含めて日本へは年10回近く 行っている。その日も電話をかけてきて「大分の玉子湯(よっじーとーん/タマゴのスープ)と亀之湯(ぐわいじーとーん/カメのスープ)を予約してして」と 言うので「それって湯 (とーん/スープ)の専門店なの?」と聞くと、「『湯(とーん)』はスープじゃなくて湯布院の旅館。『湯』は日本語で温泉って意味でしょ!!」と呆れてい た。兄3によれば、玉の湯と亀の湯は超有名旅館らしい。これじゃ、どっちが日本人でどっちが香港人だか。。。

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