ちゅったんの香港おばば

ブスでバカでチビ


ちゅったんの香港おばば

マミーと私、ときどき愉快な親戚たち

C家に嫁いで18年。オットは男ばかりの5人兄弟の末っ子。実の娘のように可愛がってくれるマミーとの関係は良好。あまり親しくない人からは「香港おばばと同居大変でしょ」と同情されるけど、この異文化交流を楽しんでます。マミーのほうがよっほど気を遣っているようです。マミーは、(ときに度を越した)世話好きで、変なところに潔癖で、義理人情に厚く、せっかちで、記憶力がよく、歴史好きで、料理嫌いで、かなり頑固で、行動力のある人だ。男に生まれた方が幸せだったかもしれない。面倒見がいいので、80歳を超えても息子たちの家族のために世話を焼いている。そのせいで、うちの家族は兄たち家族のトラブルにいつも巻き込まれている。香港では家族の付き合いが濃いので、それもしょうがない。そんな日常のエピソードを、気まぐれに連載しています。

 


ブスでバカでチビ

このどれか1つでも面と向かって言われたら、傷つくより腹が立ちますよね。
ところが、マミーはしょっちゅう孫に
「最近ますますブスになってきたね~」
「こんなことが分かるなんて何てバカ!」
「ちょっと見ないうちにすっかりチビになっちゃって。」
この3つを連呼しています。
お気づきと思いますが、これ全部「倒話(どうわー)」と言って反対言葉。
娘たちは、こんなことを言われてもニコニコ。
子どもは言葉以上に話すときの声のトーンや表情に敏感。
マミーはブス、バカ、チビと言う時、宝物を愛でるように目を細めて言うので、ちゃんと意味が通じてるんですね。

オットと結婚する前、オットの兄2(4人の兄の2番目)の赤ちゃんを見に行った時、「可愛い赤ちゃんね」と言うと、マミーがきっぱり「醜様(ちゃうよん)」ブス!と言い直したので心底びっくりしました。
後でオットが「中国の古いしきたりでは、子どもをあまり褒めると、神様(多分妖怪のたぐい)が嫉妬して、大人になる前にその美しさや聡明さ、時には命まで奪ってしまうので、神様に妬まれないように、この子はバカ、不細工、チビと言って育てるんだよ」と教えてくれました。
へ~、正に異文化!
私はこんな文化の違いが面白いな~と思えるので、今まで楽しく香港生活を送れているのかもしれません。

前にも書きましたが、マミーは中年になった息子たちを今でも「猪仔(じゅーちゃい)」子豚ちゃんと呼んでいます。
初めて聞いたときはギョッとしました。
昔は大人になるまで無事育てることは大変だったのでしょう。
やはり神様に召されないように、この子は人間の子ではありません、豚の子ですとごまかすためにそう呼んでたのかもしれません。

でも、この「倒話」などの古い風習もすっかりすたれたようで、兄嫁1が得意気に「うちの子は頭がいい、ピアノの才能もある」と言い続けて中学生になったら「勉強嫌いで困る、ピアノももう辞める」とマミーに愚痴るので、「自慢ばっかりしてるから、その才能取られちゃったんだよ」と説教されてました。

マミーは私にも「今日は顔色、醜様!」と言うことがあるので、ホントなのか「倒話」なのか区別がつかず、「は~・・・」という反応しかできない。
その後「最近良いスープ飲んでるね。」と続くと、あっ褒めてるんだとやっと気づきます。
「エステ行ったほうがいいよ。」だったらストレートな意味でお肌のお手入れが必要のサイン。
ホントにややこしい。
私も子ども扱い?そうかも。
近所の街市で買い物してる時マミーがケータイにかけてきて
「今どこ?買い物?信号渡るときは車に気をつけるんだよ」
の言葉に思わず笑ってしまった。
やっぱり子ども扱い、だね。

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