ちゅったんの香港おばば
マミーと私、ときどき愉快な親戚たち
C家に嫁いで18年。オットは男ばかりの5人兄弟の末っ子。実の娘のように可愛がってくれるマミーとの関係は良好。あまり親しくない人からは「香港おばばと同居大変でしょ」と同情されるけど、この異文化交流を楽しんでます。マミーのほうがよっほど気を遣っているようです。マミーは、(ときに度を越した)世話好きで、変なところに潔癖で、義理人情に厚く、せっかちで、記憶力がよく、歴史好きで、料理嫌いで、かなり頑固で、行動力のある人だ。男に生まれた方が幸せだったかもしれない。面倒見がいいので、80歳を超えても息子たちの家族のために世話を焼いている。そのせいで、うちの家族は兄たち家族のトラブルにいつも巻き込まれている。香港では家族の付き合いが濃いので、それもしょうがない。そんな日常のエピソードを、気まぐれに連載しています。
あちらを立てれば、こちらが立たず
夏休みの一時帰国は一番の楽しみなはずなのに、チケットを取る段階になると憂鬱なことが・・・。
それは、マミーが毎年懲りずに「子連れだと大変だから私が青森まで送って行くから、チケット予約しておいて」と言うことなのだ。
「チケット代は自分で出すからご心配なく!」そーゆー問題じゃなくて。
子連れで飛行機に乗るのは大変だからという親(?)心からなんだけど、飛行機に乗り慣れないマミーの方がよっぽどお世話が必要。
帰りはオットが青森まで来て一緒に帰るから問題ないとして、行きも乗り換えがちょっと厄介だけど何とかなるのだ。
でも、子どもが1人の時はまだ何とか説得して断ってたけど、2人目が誕生してからは、もう断固として付いて行くと言う。
それで去年は3番目の義兄が一緒に青森まで行ってマミーを責任を持って香港まで連れ帰る役目を引き受けた。
義兄はあくまでも私たち親子に同行するマミーに同行するのが目的。
青森での滞在は3日間。
ホントに私たちを送っていくのがメインの慌しい旅だった。
義兄は「こーゆーのは今回限りにしてくれー」とこぼしてたそうだ。
そして今年も、チケットお願いねーと迷いもなく言うではないか。
マミーはイースターに九州のツアーに行ってからずーっと体調不良なので、5人の息子たちが一斉に反対した。
長女も6歳だし、よく言うことを聞いて手伝ってくれるから心配しないでって言っても
「下の子は抱っこだからいいけど、乗り換えの空港で上の子が迷子とか連れ去られたらどうするんだ!」
と言うので、
「空港の方がパスポートなしじゃ、どこへも出られないからかえって安全だよ」では納得しない。
「幼児趣味の変態にいたずらされたらどうする!」
と心配の種は尽きない。
「送って行けるのも、あと何回できるかわからないんだから、頼むからチケット取ってよ」
と涙目で言われると、マミーの望みを聞いてあげたいけど、オットからきつく絶対にチケット取るなと言われている。
今年も青森まで送って行ったら、兄たちにマミーをコキ使うなってヒンシュクを買うそうだ。
そんな私は板ばさみ。
お節介にしろマミーの厚意をムゲにできないし・・・。
でも、最近お腹に今までにない痛みがあると言ってる老人を日本に連れて行って何かあったら責任取れない。
なので、
「今年は新型インフルの休校で卒園式がずれて、チケットの日程を変更したら3人分だけはキャンセル待ちで取れたけど、マミーの分はウェイティングなの」
と苦しいウソ。
マミーも半信半疑で
「ホントは最初から予約してないんでしょ」
と突っ込まれても、
「今、旅行社にプッシュしてるから」の一点張り。
ここまできたらお互い明らかにウソとわかっていても最後までウソを突き通せば、それでまるく収まるのだ。
そして、出発の前日、マミーのお腹の変な痛みは帯状疱疹であることが発覚。
そりゃもう旅行どころではない。
念のためマミーに
「飛行機、席が取れても行かないよね?」
と聞いても、激痛で返事もできなかった。