ちゅったんの香港おばば

あの世に思いをはせる季節


ちゅったんの香港おばば

マミーと私、ときどき愉快な親戚たち

C家に嫁いで18年。オットは男ばかりの5人兄弟の末っ子。実の娘のように可愛がってくれるマミーとの関係は良好。あまり親しくない人からは「香港おばばと同居大変でしょ」と同情されるけど、この異文化交流を楽しんでます。マミーのほうがよっほど気を遣っているようです。マミーは、(ときに度を越した)世話好きで、変なところに潔癖で、義理人情に厚く、せっかちで、記憶力がよく、歴史好きで、料理嫌いで、かなり頑固で、行動力のある人だ。男に生まれた方が幸せだったかもしれない。面倒見がいいので、80歳を超えても息子たちの家族のために世話を焼いている。そのせいで、うちの家族は兄たち家族のトラブルにいつも巻き込まれている。香港では家族の付き合いが濃いので、それもしょうがない。そんな日常のエピソードを、気まぐれに連載しています。

 


あの世に思いをはせる季節

もうすぐ清明節(今年は4月4日)、香港ではお墓参りの季節。
うちの近所に墓地があるので、週末には早めのお墓参りの人々でにぎわっています。
両手いっぱいの荷物は、故人へのお供え物、あの世で使うお金や日常製品。
といっても、全部燃やせる紙製。
このお供え物は仏具屋さんで揃います。
お線香やお供え物を扱う仏具屋さんはコンビニほどは多くないけど、スーパーマーケット並みの点在率でしょうか。
仏具屋さんの店先には、紙で作った車や家、スマートフォンやタブレット、マッサージ機までぶら下がっています。
これはみんなあの世への贈り物なのです。

オットのお父さんも亡くなって十数年、毎年欠かさず兄弟の家族でお墓参りに時にはお供え用のお金、鶏、ローストポーク、果物(食べ物は後で食べます)などを持ってお参りします。
ニセのお金は、墓地にある専用の焼却炉に「父さん、お金を送るから受け取ってね~」とかつぶやきながら放り込んでいます。
つい最近もオットの四の兄が、「オヤジがあの世で金に困ってる夢を見た、そろそろお参りに行こうか」と言っていました。
私には宗教感という感覚はないので、この世でしっかり生きた分、それでオシマイであってほしいと思う。
もしあの世があるとすれば、すべての苦悩から開放され何も望む必要がない満たされた完璧な世界であってほしい。
死んでまで、カネやモノに困るなんて・・・・。
あの世で困らないようになんて、こっち側の人の思い過ごしではないのかな?
お供えすることで、子どもの役目を果たしたという満足感はあるんだろうけど、見ていて痛々しい。

それに故人も死んでしまったからと言ってウカウカしていられないらしい。
オットとマミーが話していたけど、オットのお爺ちゃんの兄のお墓は風水が兄弟の中で一番良くて、その子孫は専門職で活躍しているんだそう。
一番の出世頭がアメリカの女性議員とスペースシャトル技術者だって。
イマイチな風水の場所にお墓を作ったお爺ちゃんの子孫はイマイチらしい。
オットももちろんイマイチファミリー(本人やマミーが言うのだから失礼ないよね)。
お墓の位置が子孫の繁栄を大きく左右すると言うのです。

ということは、故人へのお供えもこの世の親族に繁栄をもたらして欲しいという下心があるのかも。
さすが香港人あの世でもこの世でもカネへの執着は消えないのかもしれない、と冷めた目線で見ているのに気づかないオット。
やっぱり国が違うと死生観も異なりますね。

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