ちゅったんの香港おばば

お肌は健康のバロメーター


ちゅったんの香港おばば

マミーと私、ときどき愉快な親戚たち

C家に嫁いで18年。オットは男ばかりの5人兄弟の末っ子。実の娘のように可愛がってくれるマミーとの関係は良好。あまり親しくない人からは「香港おばばと同居大変でしょ」と同情されるけど、この異文化交流を楽しんでます。マミーのほうがよっほど気を遣っているようです。マミーは、(ときに度を越した)世話好きで、変なところに潔癖で、義理人情に厚く、せっかちで、記憶力がよく、歴史好きで、料理嫌いで、かなり頑固で、行動力のある人だ。男に生まれた方が幸せだったかもしれない。面倒見がいいので、80歳を超えても息子たちの家族のために世話を焼いている。そのせいで、うちの家族は兄たち家族のトラブルにいつも巻き込まれている。香港では家族の付き合いが濃いので、それもしょうがない。そんな日常のエピソードを、気まぐれに連載しています。

 


お肌は健康のバロメーター

香港に来て間もない頃、日本人の友達A子さんが「香港人(男)に誘われたんだけど、一人で行くの心細いからついて来て〜♪」と言われ、野暮と知りつつ仲良しのB子さんも誘ってデートに便乗。香港の観光名所を満喫して、小腹もすいた頃、その男性が聞き捨てならないセリフを吐いた。

「B子さんは、はだが わるいから、かめぜりー たべにいきましょう」とたどたどしい日本語で明るく言い放った。

内心「面と向かって肌が悪いとは何だ!B子さんに失礼だろう!」と憤慨していたが、当時の私は文句を言う勇気がなかった。 当のB子さんは、鷹揚な人で「カメゼリー食べてみたいな」と気にしてる風もなく、その男にムカつきながらもカメゼリーを食べに行った。初めてのカメゼリー の不味さに閉口しながら、なるほどこんなに苦いんだから体の毒素も出るだろうと納得。この男性は失言のせいかどうかわからないが、A子さんのハートをつかむことはできなかった。

あの時は、女性の肌のことをあれこれ言うなんて、無礼者!と思ったが、だんだん「これって香港ではフツーかも」と思えてき た。というのも、度々、香港人の知人や同僚から、「ニキビ出てるから、熱気(いっへい)溜まってるよ。スイカを食べなさい!」とか「肌、荒れてるね。夜更かしは禁物!」とか「顔むくんでるから、去湿茶(ほいさっぷちゃー)飲みなさい!」などと断定型!で言われ、ムカついたり落ち込んだりしていたが、そのうち慣れてしまった。きっと香港人にとっては、肌は美容よりも健康を測るバロメーターなのだろう。確かに肌は目に見える表面積が最大の臓器だもんね。

香港人にしてみれば、親切心(日本人とっては往々にしてお節介)から、お肌の不調=体の不調を指摘してるのであって、失礼 だなんて微塵も思っていないのだ。だから、お肌のことを言われて、いちいち落ち込んでいたら時間と労力の無駄。とりあえずアドバイスに従ってみましょう。

マミーも例にもれず、肌にウルサイ。特に面色(みんせっ/顔色)と潤いが大切らしい。子ども肌のように頬にほんのり赤みが 差しているのが理想だそうだ。ジーッと顔を見られているときは要注意。「最近、肌にハリがないんじゃない?」とか「今日はくすんでるんじゃない?」と普通 ならグサリと来る言葉だが、「じゃ、それに効くスープお願い♪」と切り返すことにしている。

マミーは、「女は手を抜くと老けやすいんだから、自分の美容と健康のために、中医(じょんいー/東洋医学)勉強すればいいのに・・・」と言われても、馬耳東風。マミーがいる限り、家族は安泰。「長生きしてね、マミー。」と言うと、「人に尽くしてばかりの人生で、体もしんどいし、そんなに長生きしなくても十分。」これって私たち家族がマミーに依存しすぎってことを遠まわしに言ってるのかな?もっと姑に気を使うべきところだが、 甘えっぱなしの嫁であった。

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