ちゅったんの香港おばば
マミーと私、ときどき愉快な親戚たち
C家に嫁いで18年。オットは男ばかりの5人兄弟の末っ子。実の娘のように可愛がってくれるマミーとの関係は良好。あまり親しくない人からは「香港おばばと同居大変でしょ」と同情されるけど、この異文化交流を楽しんでます。マミーのほうがよっほど気を遣っているようです。マミーは、(ときに度を越した)世話好きで、変なところに潔癖で、義理人情に厚く、せっかちで、記憶力がよく、歴史好きで、料理嫌いで、かなり頑固で、行動力のある人だ。男に生まれた方が幸せだったかもしれない。面倒見がいいので、80歳を超えても息子たちの家族のために世話を焼いている。そのせいで、うちの家族は兄たち家族のトラブルにいつも巻き込まれている。香港では家族の付き合いが濃いので、それもしょうがない。そんな日常のエピソードを、気まぐれに連載しています。
ちょっと嬉しいこと エッグタルト編
外国人が口々に日本のサービス・気遣いは素晴らしいと賞賛するのには訳がある。
日本以外の国では、お客様は神様と言う訳ではないのです。ここ香港でも。
売り手と買い手は対等、むしろ売ってあげてると感じることもある。
だから、香港ではお客さんだから丁寧に対応されて当然と言う考えは捨てなければいけません。
きちんと接客のトレーニングを受けた専門店以外の商店、スーパーなどでは、接客中に同僚とおしゃべりしたりするのは珍しくないのです。
値段を間違えない、お釣りを間違えない、壊れないように袋に詰める、など日本で当たり前と思っているサービスは約束されている訳ではないので、買い物する時はしっかりレジに表示される値段をチェック、詰める時もしっかりチェック、レシートもチェックと確認は自己責任。もし店側が間違っても、大抵は謝らない、差額を返すだけ。今はセルフレジがあるので、確認しながらできるのはいいことです。
でも、そんな香港だからこそ、たまに丁寧な店員さんに出会うと得した気分になります。今日はスーパー内のベーカリーでエッグタルト(今時1個4ドルの奇跡値段)を6個買った時のこと。香港ではケーキ類を半打(半ダース)つまり6個単位で買うことも多く、大抵は箱に入れてくれます。ベーカリー担当のおばちゃんに、「〇〇ないけどいい?」と訛りのある広東語で聞かれて、ネイティブ広東語スピーカーでない私は訛りがあると聞き取れず、状況的に箱のことだろうと想像し、OKと返答。「ビニールに台紙を入れて3個ずつ2パックにするねー」とおばちゃん。目の前のエッグタルトを選ぶ時、オーブンの煤のかけらがかかってる数個があり、心の中で「それは選ばないでー」と念を送っていた。香港でありがちなのは、押しが弱そうな人(私みたいな人)に売れなそうな物をしれっと売る、または何も考えず手前から機械的に売る。だから、その場で店員さんが商品をピックアップする時も目を離さず、これとこれとこれ、それはダメーとかいちいちリクエストしたりする。しかし、このおばちゃんは、わざわざ一個一個きれいなエッグタルトを選んで、壊れないようにそっと袋に詰めて、袋を渡す時も大事そうに渡してくれた。そして、他の店員さんと大声で喋りながら風のようにその場を去っていった。一見ガサツそうなおばちゃんで、一連の行動もすごく心を込めてやっている風でもなく、でも商品を丁寧に扱う人柄に感動してしまった。それに、香港人は親切な行いや人助けする時、本当にさりげなく自然なのだ。日本人のように丁寧な行為に恭しさはなく、反射神経的な爽やかさがある。
そんな訳で、気分良くスーパーを出て、新鮮な野菜を買いに市場へ行って、1山6ドル2山10ドルの札が出ていて、きゅうりを選ぶと、「ここからは1山10ドルだからね」とお店のおばちゃん。あのーここからって境界線もなく、同じ並びの同じカゴに盛られていたら値段が違うってきづかないだろうっ。と反論したかったが、きゅうりが欲しかったので、そのまま買う。「2種類で15ドルにしてあげるから買っていきー」と言われたけど、もう他に選ぶ気が消失。ここはやっぱり香港、買い物だって真剣勝負、ぼーっとしていてはいい物を買えないのだ。全く香港の生活は気が抜けない。
でも、生活のちょっとした嬉しいことは散らばっているはずなので、それを拾い集めてご機嫌に香港生活を送りたい。
Aug 28, 2020