ちゅったんの香港おばば

マミーのメンツ


ちゅったんの香港おばば

マミーと私、ときどき愉快な親戚たち

C家に嫁いで18年。オットは男ばかりの5人兄弟の末っ子。実の娘のように可愛がってくれるマミーとの関係は良好。あまり親しくない人からは「香港おばばと同居大変でしょ」と同情されるけど、この異文化交流を楽しんでます。マミーのほうがよっほど気を遣っているようです。マミーは、(ときに度を越した)世話好きで、変なところに潔癖で、義理人情に厚く、せっかちで、記憶力がよく、歴史好きで、料理嫌いで、かなり頑固で、行動力のある人だ。男に生まれた方が幸せだったかもしれない。面倒見がいいので、80歳を超えても息子たちの家族のために世話を焼いている。そのせいで、うちの家族は兄たち家族のトラブルにいつも巻き込まれている。香港では家族の付き合いが濃いので、それもしょうがない。そんな日常のエピソードを、気まぐれに連載しています。

 


マミーのメンツ

ある日、買い物から帰ってきたマミーが怒ってる。

マ「隣の夫婦はバカにしてる!これからお仕事?だって。」

私「それがなんでバカにしてるの?」

マ「だってこんな年寄りつかまえてお仕事はないでしょ、ムッ。」

なんだか納得いかないけど、その時は深く追求しなかった。

それから1、2ヶ月経って、外出から戻るとまた「隣の夫婦は絶対バカにしてる。ヒドイ!」とよく見ると涙ぐんでる。

マ「だって出掛けに会ったら、これから仕事?って聞くんだよ。こんな年寄りに。」

私「挨拶みたいなもんでしょ。」

マ「この年で働かなきゃいけないほど、困ってるように見える?」

私「そうじゃなくて、現役で仕事続けられるぐらい元気に見えるってことじゃないの?」

マ「五嫂(んーそう/5番目の嫁)は人が良いからそんな風にとれるかも知れないけど、これってバカにされてるんだよ。私が貧乏に見られるのは構わないけど、息子が5人いるのに年老いた親が働いてたら、息子たちは甲斐性なしってことなんだよ。」

隣の老夫婦の何気ない一言がマミーのメンツを激しく傷つけた訳が分かった。でも、これはマミーの勘ぐりすぎでお隣さんはちょっと無神経な人だけど、そんなつもりはなかったはずだ。きっとまた、「これからお仕事ですか?」と地雷を踏むに違いない。

マミー的思考回路は、香港では珍しくないのかもしれない。孝順(はうそん/親孝行)は最大の美徳だのだ。香港では、どんな に偉い人でも親には頭が上がらない。みんな就職したら家に毎月お金を入れて、結婚して別に住んでいてもちゃんとお小遣いをあげているのだ。芸能人で成功し て自分が高級マンションに住んで、親が公団アパートに住んでたりすると、マスコミの格好の餌食になる。日本のように子どもが親に寄生してるなんて、マミー 的にはメンツ丸つぶれになってしまう。毎年帰省の度に母からお小遣いをもらってるなんて、口が裂けても言えない。

私の母はマミーと同い年で、35年間ずーっと1つの仕事を続けているので、現役で働けるってことは、誇りにこそすれ、恥ず べきことだとは夢にも思ってなかった。本当にところ変われば、ですね。香港では、子どもたちに養われて、悠々自適な老後が理想なのでしょう。実際、マミー は4人(1人はベンチャービジネスといえば聞こえはいいが収入が不定期のため免除)からお手当てをもらって、結構小金持ちで株もちょろっとやっている。読 むのは香港経済日報、見るのは、ケーブルの経済チャンネル。悪くない老後だと思うけど。。。

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