ちゅったんの香港おばば
マミーと私、ときどき愉快な親戚たち
C家に嫁いで18年。オットは男ばかりの5人兄弟の末っ子。実の娘のように可愛がってくれるマミーとの関係は良好。あまり親しくない人からは「香港おばばと同居大変でしょ」と同情されるけど、この異文化交流を楽しんでます。マミーのほうがよっほど気を遣っているようです。マミーは、(ときに度を越した)世話好きで、変なところに潔癖で、義理人情に厚く、せっかちで、記憶力がよく、歴史好きで、料理嫌いで、かなり頑固で、行動力のある人だ。男に生まれた方が幸せだったかもしれない。面倒見がいいので、80歳を超えても息子たちの家族のために世話を焼いている。そのせいで、うちの家族は兄たち家族のトラブルにいつも巻き込まれている。香港では家族の付き合いが濃いので、それもしょうがない。そんな日常のエピソードを、気まぐれに連載しています。
香港の濃~い人たち1
すっかりご無沙汰していたオババコラム。
マミーもゆかいな連中も健在です。
夏休みの1か月半の一時帰国を終えて、香港に戻ってきたら、「おー!やっぱり香港、濃いなー、たくましいな」という出来事があったので紹介しますね。ちなみに、この人たちは、見ず知らずの通りすがりの人々です。
1、マカオフェリーターミナルにて
マミーがマカオの有名なショー水舞間(Dancing Water)を見に行きたい!と言うので、まあ1回は見に行こうか、という緩いノリでマカオへ行くことになりました。
水舞間は毎日ではないので、水舞間がある日はフェリーもホテルも混んでいます。前日に日本から香港に戻って、子どもたちが朝ぐずぐずしていて、旅行社で予約したフェリーに5分の差で乗り遅れてしまいました。ガーン。
キャンセル待ちはすでに長蛇の列。マミーは待ち合わせの20分前に来ていたので、私たちのせいで並ぶことになって申し訳ない。
15分置きにフェリーがあるのですが、1回に回ってくる空席は2・3名なので、みんなまだかまだかとイライラしてます。
待っている間に、数人前のおばちゃんが横にいるおばちゃんに「あなた横入りでしょ、最後尾に並び直して」とブツブツ文句を言いだしました。
「私は友達が並んでくれてたから来ただけで、横入りじゃないわよ」と訛りのある広東語で反撃。
それで、暫く何事もなかったように並んで少しずつ前に進んで、横入り疑惑のおばちゃんの番が近づいたころ、「打尖!(横入り)打尖!打尖!」という合唱が始まり、一瞬デモか?と驚くと、さっきクレームしたおばちゃんではなく、その後ろの二十歳前後の女の子数人グループでした。
女の子グループはフェリーの職員にも「この人、横入りです!」と訴えましたが、あっさりスル―。あと一人で横入りおばちゃんの番というときに、またあの合唱が。
横入りおばちゃんも負けずと「アタシは友達が先に並んでいたから来ただけで、横入りじゃないよ。あんたたちは道理がわからない人たちだね。」と大声で言うと、
女の子のリーダーらしき子が「あのねー、声の大きさじゃ負けないよー、道理となかんとこっちのセリフだよ。道理で言うなら、列の最後に並べよ!」と本当にマイクなしでもすごい大声。
私だったら、あんな風に言われたら、すごすご退散しちゃうけど、横入りおばちゃんも負けてません。「後ろに並び直す暇なんかないよ!」
リーダー「そんなに急いでいるなら、ここの屋上からヘリコプター乗れよ。」そう4300ドル出せば本当にヘリコプターで15分ぐらいで着くのです。
横入りおばちゃんは、もう無視を決め込んで、順番が来たらさっさとフェリーに乗りこんでいきました。
幸い、女の子グループはその次のフェリーになったので、おばちゃんと一緒の便でなくてよかった、と他人事ながら胸をなで下ろしました。
マミーやオットとなんであんな騒ぎになったのか話している中で、横入りおばちゃんがメインランドの人だからじゃないか?と推測。私は見ていなかったけど、並んでいる人を押しのけてぐいぐい入ってきた様子を長女は見ていて、態度の問題じゃない?など横入りおばちゃんネタでひとしきり盛り上がりました。
香港人のメインランドの人への鬱憤がたまっているのかもしれません。
私たちは女の子グループが乗った後、次の便に乗ることができました。結局1時間半並んでいたのですが、あの横入り騒ぎはよい暇つぶしになりました。女の子リーダーの威勢の良さにもびっくりです。
公共の場で横暴な態度や喧嘩が始まるとケータイの動画で撮られてfacebookやwhatsAppなどのSNSで瞬く間に拡散されてしまいます。
「○○おじさん」「○○おばさん」で有名人(悪い意味で)になってしまうので要注意です。長女は横入りおばさんもSNSに載ってないかないか調べましたが、なかったのでがっかりしていました。
横入りおばちゃんと女の子リーダーの2人に通じる図太さにひそかに感服したのでした。
なんと横入りおばさんも私たちと同じホテルで思わず笑ってしまいました。
香港の濃~い人たち2は次回につづく。