ちゅったんの香港おばば

新型コロナで消えた音


ちゅったんの香港おばば

マミーと私、ときどき愉快な親戚たち

C家に嫁いで18年。オットは男ばかりの5人兄弟の末っ子。実の娘のように可愛がってくれるマミーとの関係は良好。あまり親しくない人からは「香港おばばと同居大変でしょ」と同情されるけど、この異文化交流を楽しんでます。マミーのほうがよっほど気を遣っているようです。マミーは、(ときに度を越した)世話好きで、変なところに潔癖で、義理人情に厚く、せっかちで、記憶力がよく、歴史好きで、料理嫌いで、かなり頑固で、行動力のある人だ。男に生まれた方が幸せだったかもしれない。面倒見がいいので、80歳を超えても息子たちの家族のために世話を焼いている。そのせいで、うちの家族は兄たち家族のトラブルにいつも巻き込まれている。香港では家族の付き合いが濃いので、それもしょうがない。そんな日常のエピソードを、気まぐれに連載しています。

 


新型コロナで消えた音

感染予防のために制限されていることが色々ある。図書館、室内外運動場は使えないし、3人以上での外食、そして全校での対面授業などなど。そういった制限の中で、なくなった音もある。

数年内に日本への帰国を真剣に考えているので、日々の香港のアレコレも味わおうと見るもの、聞くもの、食べるものに以前より敏感になっている。特に音は生活を反映するのものだと改めて気づいた。

大きなほうきでジャッジャッと掃除する音がするのは朝8時ごろ
ゴミ集積の部屋からゴミ袋を取り出すガサガサする音がすると10時ごろ
はいつも通り。

8時ー10時ぐらいまで、老人が集まって太極拳や扇子のダンスをするBGMが鳴り響いていたのに、今はない。
3人以上の集まりはNGなので老人の日課である朝の運動は個人でしているのかもしれない。
老人は感染すると重症化する確率が高いので外出を避ける人も多く(自分の意思より家族が出させないケース多し)、マミーをはじめ運動不足が心配。

うちの上下の部屋と思われる人はオペラ歌手?なのか、以前はよく響く低音での発声練習が聞こえたのに、今は全くしない。移住してしまったのだろうか?

こちらもうちの上下の部屋と思われる人で、お父さんが息子を叱りつける、というよりどなる声が聞こえていたのに、静かだ。今は息子を叱らなくなったのか、それとも別居?いや引っ越し?それともお父さんが温和になった?

それに麻雀の音、全然しない。麻雀は近距離で長時間密の状態、その上4人で触りまくった麻雀牌が満遍なくシェアされる状況はどう考えてもハイリスクだもんね。

マンション内の駐車場でライオンダンスの練習をよくやっていて、シンバルでジャンジャンジャン、太鼓のドンドンドンという音も週末に聞こえていたのに、1年ぐらい聞いていない。
人数の制限でできないってこともあるだろうし、新店舗オープンに呼ばれるライオンダンスはこの1年は需要が激減だったんだろうね。香港を彩る威勢のいい音が聞こえないのは、寂しい。

それと、近所に大きな運動場があって、平日は各学校のスポーツデーが頻繁に行われ、スタートのラッパや笛、応援、BGMが聞こえていたのに、利用者のいない今、静まり返っている。

逆に増えたのは、消毒スプレーをかけるシュシュ、アルコールの蓋を開けるカチッという音、手をこする音。体温計のピッという音。

この変化を楽しむとは言えないけど、嘆くより、まず味わおう。香港を去るその日まで、どんな香港も味わい尽くそう。

Jan 24, 2021

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