さわじい先生の学びのコツ

「ガチャ」で伸ばす!

手で学ぶ

「ご褒美をもらうためにがんばる」のはダメでしょうか?  私が算数や数学を教えている教室には「ガチャ」と呼ばれる器械が置かれています。そうです。コインを投入してハンドルをガチャガチャと回すとカプセルに入った景品が出てくる、あれです。小学生から中学生まで、子どもたちは、努力した成果が出たときや、努力する姿勢そのものが評価されたとき、先生から特別なコインを受け取ることができるのです。

景品はノートや消しゴムなどの小さな文具との引換券がほとんどで、高価なものは皆無ですが、どうやら、何が出てくるのかわからない「わくわく感」を感じられること自体が楽しみなようで、コインをもらうと、どんな子もスゴく喜んでくれます。そして、子どもたちが喜んでくれる理由には、もうひとつあります。自分の努力やその成果を、他の誰かが認めてくれたという事実を「ガチャ」を回す瞬間に体感でき、誇らしく感じることができるからなのです。

大人だって褒めてもらえればうれしいし、そのことでご褒美がもらえれば、それがどんなものでも心があったかくなります。子どもたちがご褒美のために、いつもよりほんの少し背伸びをして努力するのは、私は、決して悪いものではないと思っています。スポーツ選手が金メダルを欲しいと願ってトレーニングを積むことだって、基本は同じではないでしょうか。

しかし、お母さんやお父さんは、ときどき「ご褒美の逆」で子どもたちの努力を促そうとするときもあるのではないでしょうか。努力を怠ったり、結果が出なかったときにペナルティを課すようなやり方です。そういうやり方は、子どもの心を暗くします。テストの結果が悪かったら、大好きな何かを取り上げるとか、塾を辞めさせるとか、そういうことです。

おそらく、お母さんやお父さんは、ごく軽い気持で、子どもたちにプレッシャーをかけたり、奮起を促すために、そういうことをおっしゃるのでしょう。しかし、「ご褒美の逆」はあまり効果が期待できないだけでなく、子どもたちには大人が思っている以上に大きな心的圧力となり、ときに健全でない反発心を生み、こころに黒い影を残してしまいます。今日は、こんなやり方は「百害あって一利なし」と大きな声で言い切ってしまいましょう。算数や国語がもっとできるようになりたい、と一番強く思っているのは子ども自身です。テストで結果が出なかったときに世界で一番悔しいのはその子自身なのです。

確かに、彼らはその意欲や悔しさを表現するのは稚拙ですし、その決意はすぐに揺らいでしまうかもしれません。宿題が残ってるのに遊びが止められなかったり、すぐに集中力が途絶えてしまうのも、大人から見ればイライラしてしまうことでしょう。でも、子どもって、そういうものではないでしょうか。

ネガティブなペナルティでお尻を叩くより、小さな努力や前進を褒めてあげてください。ご褒美は教室にある「ガチャ」にお任せください!

Jul 25, 2021

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