ちゅったんの香港おばば

中学合格発表、そして愛しきママたちと


ちゅったんの香港おばば

マミーと私、ときどき愉快な親戚たち

C家に嫁いで18年。オットは男ばかりの5人兄弟の末っ子。実の娘のように可愛がってくれるマミーとの関係は良好。あまり親しくない人からは「香港おばばと同居大変でしょ」と同情されるけど、この異文化交流を楽しんでます。マミーのほうがよっほど気を遣っているようです。マミーは、(ときに度を越した)世話好きで、変なところに潔癖で、義理人情に厚く、せっかちで、記憶力がよく、歴史好きで、料理嫌いで、かなり頑固で、行動力のある人だ。男に生まれた方が幸せだったかもしれない。面倒見がいいので、80歳を超えても息子たちの家族のために世話を焼いている。そのせいで、うちの家族は兄たち家族のトラブルにいつも巻き込まれている。香港では家族の付き合いが濃いので、それもしょうがない。そんな日常のエピソードを、気まぐれに連載しています。

 


中学合格発表、そして愛しきママたちと

中学合格発表、そして愛しきママたちと

7月3日に小Sの卒業式が終わって、7月7日に中学の合格発表(*統一配位)の発表。小Sの小学校は半数以上が直系中学に進めるけど、必ずしも全員ではない。あぁ、何という不安。万一、配置された中学が志望校からかけ離れていた時のために*門叩き(ハウムンと言い直接学校と交渉すること)の準備をしておいた。大Sの時は、成績的に第1志望でなくとも第4志望までのどこかにはひっかかるに違いないと楽観していたので、門叩きの準備はしなかった。小Sの場合は担任からもっと下のランクを狙うように再三言われていたし、30個のリストに書いてもいない学校に割り振られることもあると聞いていたので、念には念を入れて準備する。

そしていよいよ発表の日、生徒は教室へ。保護者は講堂で待機。生徒は教室で配置表をもらったら、講堂へ行くんだけど、講堂の張り詰めた空気は何とも言えない。まさかに備えて、夫にも会社を休んでもらった。結果を受け取った子が講堂に入ってくる。結果がいいのか悪いのかわからないので、その親子の方を見ないようにする。我が子が入ってきたら、まずは外に出てから話そうと思ってた。入って来た時、緊張で涙が出そうになる、耳元で「入ったよ」と一言。おおおーっ!これは何か大きな力に守られていると感じ、ありがたくて涙が溢れた。マミーと青森の母に電話をかけ、第一志望校に入れたと報告し、そのまま文武廟へお礼参りへ。

前日に母と電話で話していて、母も私もほぼ同時にあの時のことを思い出していた。
私の大学の合格発表の日のことを。
何の学校行事にも来たことがない父だけど、前期(共通一次)で滑り止めのつもりだった地元の大学の合格発表は、父は職場と大学が近かったので半休を取って一緒に見に来たのだ。
探せど探せど私の受験番号はなく、目の前が真っ暗になった。例えではなく本当に急に停電になったような真っ暗闇になったのだ。人間の脳というのは耐えらないショックを目にした時には視覚の回路を切断してしまうらしい。
皮肉にも父は合格祝いをするために、フラミンゴのいる郊外の洒落たレストランを予約していて、フラミンゴを見ながら食事したのが忘れられない。食事の最中、父がくどくどと文句を言い、大学は諦めて就職しろとか、浪人させないとか、さらに私を落ち込ませる。何も知らない気楽なフラミンゴが恨めしかった。受験に失敗した自分が情けなく悲しかったし、プライドの高い父が職場の人にどんな顔して不合格を伝えるかと想像すると申し訳なかった。

一方母は「後期の大学の発表がまだなんだから、きっとそっちが受かっているわよ。せっかくフラミンゴがいるレストランに来たんだから楽しもう。」と慰めてくれた。気休め言ってっと私と父は母の言葉を真剣に聞かなかったけど、「気休めじゃないよ、受かってると本気で思う」と真面目な顔で言った。蓋を開けてみたら、後期の大学に受かっていて、母が「ほら言ったでしょ。親は最後まで自分の子どもを信じるものよ。」あの時は母のありがたさを感じた。

自分の苦い経験があったので、小Sの結果が万一結果が理想通りでなくても、あの時の父のように怒るまい、落ち込むまい、責めるまいと自分に言い聞かせていた。母も「結果が悪くても絶対あの時のお父さんみたいに怒っちゃダメよ」と言った。結果は、希望通りの学校への合格で心からホッとした。

様々な応援があったから個人の力を超えて、合格できたのだと思う。家庭教師してれてる小SのいとこのEちゃん、おばあちゃん’s(マミーと私の母)や4番目の義理兄、文武廟、学校の先生方、そして愛しき学年ママたち。バスマザーのAさんからも電話かかってきて、お祝いの言葉をもらった。このAさんは大Sが小1の時からこの地区のバスの担当で、小Sと同じお誕生日で毎年プレゼントを交換したり、二人を格別可愛がってくれた。多くの人から愛され、見守られて育つことはなんて幸せなことだろう。嬉しいことに、早速同じ中学に進学するママたちがグループを結成し、もちろん私も即座に参加。もう情報交換が始まっている。また愛しきママたちに依存してしまいそう。いつか私からも有用な情報を発信したい。

5歳違いの大Sは同じ中学に在籍している。前々から友達に「妹、今年入学だよね?」と聞かれ落ちたら言いにくいと気にしていたので、「同じ学校になれてよかったね。安心したしょ。」と言うと今度は小Sダイエットしてほしいと言うではないか!友達がみんなで妹を見に行こうって言うし、可愛くなかったらがっかりするから。大S、君はどこまで見栄っ張りなのだ。大Sを見ていると時々、私の父を思い出してしまう。父もプライドが高く、見栄っ張りで、でも気持ちは優しく照れ屋だった。大Sよ、素直に妹におめでとうって言ってあげようよ。

*統一配位
政府のカリキュラムを採用する中学の入学システムの段階の一つ
①第一段階 自行分配 
1月上旬に一覧表にある学校から2つまで選択できる。学区の制限なし。成績表など指定の提出書類と面接のみ。今年からシステムが変わり、合格者は4月7日までに結果を受け取ることになった。
②第2段階 統一配位
5月上旬に一覧表にある学校から30校までを選び在籍校に提出。すでに自行分配や直資や私立に合格が決まっている人は、この受験を放棄する。7月7日に振り分けが発表となる。
2段階とも筆記試験はなし。主に小5後期、小6の成績が重視される。

入学システムのフローチャート

Jul 20, 2020

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