ちゅったんの香港おばば

そこにある「いつも」はかけがえのない日


ちゅったんの香港おばば

マミーと私、ときどき愉快な親戚たち

C家に嫁いで18年。オットは男ばかりの5人兄弟の末っ子。実の娘のように可愛がってくれるマミーとの関係は良好。あまり親しくない人からは「香港おばばと同居大変でしょ」と同情されるけど、この異文化交流を楽しんでます。マミーのほうがよっほど気を遣っているようです。マミーは、(ときに度を越した)世話好きで、変なところに潔癖で、義理人情に厚く、せっかちで、記憶力がよく、歴史好きで、料理嫌いで、かなり頑固で、行動力のある人だ。男に生まれた方が幸せだったかもしれない。面倒見がいいので、80歳を超えても息子たちの家族のために世話を焼いている。そのせいで、うちの家族は兄たち家族のトラブルにいつも巻き込まれている。香港では家族の付き合いが濃いので、それもしょうがない。そんな日常のエピソードを、気まぐれに連載しています。

 


そこにある「いつも」はかけがえのない日

今年は夏休みも母に会えず寂しくて寂しくて時々涙が出てくる。今までは母の長〜い話を実は別のことをしながらあまり真剣に聞いてなかった。今日は何を食べたとか、誰と会って〇〇さんはどうだったとか、服装とか日々のたわいもない話だけど、母が元気な様子が想像でき、嬉しい気持ちでちゃんと聴いている。今年の夏は青森も猛暑だったので、夏バテしない工夫を細かく説明してくれる。最近は涼しくなったので、歩くのも爽やかだと大変機嫌が良い様子。

80歳まで仕事をしていたので、ずーっと忙しい生活を送ってきて、時短や節約の工夫をするのがしみついていて、独自の知恵袋を自慢。
炊き立てのご飯は熱すぎるので、水をそーっとかけてそっーと水切りするとちょうといい温度になるそうだ。基本食いしん坊なので、どうやったら美味しく食べられるかを研究している。
例えば、焼売は水をかけてから水を切ってラップをかけてレンチンし、上が乾燥しがちなので上下をひっくり返し、1−2分置きしっとりしてから食べる。冷凍のたい焼きは、一旦レンチンしてからオーブンで表面をカリッとさせる。私がレンチンしただけで娘たちに食べさせると「ばあちゃんの家で食べたたい焼きと同じメーカーなのにパリっとしてない」という言うので、実はレンチンしただけと気づかれてしまった。美味しさの工夫以外にも、体が以前のように利かない分をどうやってカバーするかを日々研究している。

先日は生まれて初めて自分の髪を切った、しかも上手にカットできて、デイサービスのお仲間にどこできったの?褒められたそうで、とてもご機嫌だった。この年でカットの才能を発見した!と満足そう。母は数年前利き手の右手を脱臼してから力が入らず、左手を鍛えてカバーしているものの、細かい作業は昔ほどうまく出来ないし、右手を肩から上に上げてもすぐに下がってしまうのです。だから、カットするのはなかなか大変なことだろうと想像できる。少し毛先をつまんでチョキチョキ細かくハサミを動かして美容師さんみたいに切るのよと教えてくれた。私が子どもの時に使っていたケープ(端に空気が入って傘のようになる物)を使ったら髪も全然散らばさなかったし、なかなかやるでしょとご満悦。次回、母に髪を切ってもらおうかな。

私もいずれ歳を取る、誰でも年老いる。でも、私の前には母やマミーが歩いた道がある、肉体の衰えを嘆かず(時々呟きあるけど)もその時の自分にできる形にギアチェンジしてしっかり生きてる。母とマミーと一緒に温泉に行きたいな。二人とも逞しくて、優しくて、可愛げのある女性。

そして今月は私の誕生日。C家に嫁いでからは、誕生日はお母さんが大変な思いをして産んでくれた日だから、もうひとつの母の日にも書きましたが、お母さんに感謝する日となりました。

母が私を産んでくれたこと、そして愛情いっぱいで育ててくれたこと、今も元気で私を応援してくれることに、感謝の気持ちが溢れてくる。そこにある「いつも」はかけがえのない、代わりが効かないものだとしみじみ実感できたのは、皮肉にもコロナの災禍があったから。

そこにある「いつも」はかけがえのない日

Sep 22, 2020

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