香港子育て回顧録 -これまでも、これからも

子どもの睡眠障害

子どもの睡眠障害

香港子育て回顧録 -これまでも、これからも

白井純子 

愛知県出身。大学では日本国文学科専攻。北京電影学院留学中に香港人である現在の夫と出逢う。長男を東京で、次男を香港で出産。

2014年夏に9年間暮らした香港から大阪に帰国。帰国後に保育士資格とチャイルドマインダーの資格を取得。

2019年夏から息子達の留学のためバンクーバーに滞在中。現在の関心ごとは「Sustainability」。

 


子どもの睡眠障害

我が家の次男は我が道を行くマイペースな性格で、家族にさえ「小さなことなど気にしない大雑把な人間」だと思われているのだが、実際には人一倍神経質なところがあり、そのせいで体に不調が出ることがしばしばある。先日も、睡眠時間をたっぷりとることが身長を伸ばす秘訣だという話をしたした直後、早く寝なければならないというプレッシャーを自分自身にかけすぎた結果、ベッドに入ってから3時間も4時間も眠りに落ちることができなくなり、その焦りで余計にストレスを感じてしまい、私が寝かしつけなければならないということがあった。しかも、一度「眠れない」という経験をすると、次も眠れないのではないかと心配になり、自然に眠りに落ちることが難しくなる。大人ならば誰もがこんな経験の一つや二つあると思うのだが、12歳の息子にこんな症状が出るとは意外だった。

「眠れないなら起きていたらいいんじゃない?」という言葉がけをしたものの、ベッドの中で変な汗をかきながら緊張している息子が不憫になった。頭を抱えながら半泣き状態の息子に「じゃあ、どのくらい眠らないでいられるかゲームしてみよう」と、こちらも寝ずに彼の睡眠を待とうじゃないかという覚悟を決めた。彼のベッドに潜り込み、私の子供時代の話をしたり楽しかった旅行の話をする。一瞬私の話で気が紛れたかのように見えても、突然「眠れない」という現実にわざわざ自分を引きづり込む息子。夜中の1時を回った頃にはさすがに私も眠たくなったが、私が先に眠ってしまうことはイコール、彼を絶望の夜に突き落とすことになり、なんとか眠らせることができないかとあの手この手を使ってみた。結果、彼の耳元で私が英語を話し続けることで彼はようやく眠りについた。日本語だと意味がダイレクトに頭に入ってきてしまうけれど、英語だと集中しなければただの音として脳が処理できるのだろう。まさに悪戦苦闘した結果、私自身が眠れなくなってしまい、最終的には私が入眠剤を使用した。

ただの不眠にここまで付き合ってやることが正しいことなのか、自身で解決させるべきことなのか、私にも正解が分からない。私自身神経質な子どもだったので、今思い出せるだけでも幾つかの不調があった。カフェに入ると大きなガラス窓の向こうに行き来する車を眺めるだけで酔い、頭痛がしたこともある。しかし、小さな弟達と祖父母の世話で忙しかった母や、仕事で帰りが遅かった父は、私のためにそこまで時間を費やすことはなかった。いつしか「きっと時間が解決してくれる」と自分に言い聞かせて、諸々の不調を乗り越えてきたように思う。息子もいつか、自分で乗り越えるしかないと腹をくくってくれることを期待する。眠れなければ夜が明けるだけの話。眠らなければ、必ず眠気が後からやって来るだけの話。そんな風に気楽に生きられる人になってくれたらいい。

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