香港子育て回顧録 -これまでも、これからも

渡り鳥の雛たち 1

渡り鳥の雛たち 1

香港子育て回顧録 -これまでも、これからも

白井純子 

愛知県出身。大学では日本国文学科専攻。北京電影学院留学中に香港人である現在の夫と出逢う。長男を東京で、次男を香港で出産。

2014年夏に9年間暮らした香港から大阪に帰国。帰国後に保育士資格とチャイルドマインダーの資格を取得。

2019年夏から息子達の留学のためバンクーバーに滞在中。現在の関心ごとは「Sustainability」。

 


渡り鳥の雛たち 1

香港、日本、カナダへの引越しと転校を経験してきた我が家の子ども達。それは彼らが望んだものではありませんでした。現在15歳の長男と12歳の次男。恐らく、期待や不安を胸に、彼らなりに乗り越えてきたものがあるはずです。彼らの本音を聞いてみたいと思い立ち、この企画を思いつきました。チャレンジを厭わない両親のあいだに生まれ、それに付き合わされる子ども達。

世界が大きく変わりつつある今、今後も私たちは安住の地を求めて渡り鳥のように生きていくことでしょう。その中で彼らは何を思い、どんな風に成長するのか。彼らの言葉をここに留め、みなさんとシェアできたら幸いです。

母:今日は二人の経験したことや考えたことを聞かせて欲しいと思います。私たちは香港、日本、カナダと移動してきたけど、この移動の多い生活についてどんなふうに思うのか聞かせて。じゃあ、お兄ちゃんから。

兄:正直、引越しが多くて大変。でも新たな環境に変わるのも新鮮味があって嫌いではないかな。

母:本当に?嫌がってるかなと思ってた。

兄:まあ、嫌や(笑)引越しのストレスとかね。でも、ずっと同じところにいても多少飽きてくるから。あと、iPhone XS 買ってくれたってのもね(笑)

母:カナダ行くの嫌がってたから、行くなら買うっていう約束でね(笑)

弟:引越しが多いと整理するのが大変。まあ、整理が苦手なんですね、僕は。掃除とか。あと、環境が変わるから今までの安定した暮らしが変わるのは大変かなと思うね。まあ、僕は特にスマホを買ってもらえるとかないんで…。引越してもいい時もあれば、嫌な時もある。正直、僕はカナダのままでいいなと思うね。

母:そっか。じゃあ、今までの引越しや転校で印象に残ってることはある?

弟:特にないねえ。

母:え?本当に?

弟:あ、香港から日本に引っ越して、学校の給食をほとんど毎日残してた。初日は給食が美味しくてねえ、誰よりも早く食ったの、でもその翌日から(給食を前もって)減らすようになったの。少し量が多いと。あとは、日本語が話せるのがいいねえ。気楽に話せたり、面白いことが言えるよね。ウマが合う人もたくさんいるから。

母:お兄ちゃんは?

兄:カナダに来てから、特に人付き合いに苦戦したこともないから、一人でランチ食ったりね。そういう寂しい思いをしてないから、次に移動したら同じように安定できるという自信はないんでけど、まあ、適応能力は僕は良いほうなんじゃないかなと。

母:引越し自体で大変だったことある?

弟:日本からの引越しの日が暑かった。もうほぼ熱中症で。

母:そうだねえ。真夏だったから。

弟:バテるくらいの暑さで。こっち(カナダ)は暑くないし、大丈夫だね。香港も暑かったからTシャツ着てても脱ぎたくなった。こっちのさらっとした感じは好きだね。

兄:僕は気候はどっちでもいいんだよね。なんでかっていうと、日本は冬になると唇がカサカサになるんだけど、こっちは夏になると唇がカサカサになる。難しいよね(笑)。

母:(笑)大変だねえ。じゃあ今度は、学校のことについて聞かせてもらおうかな。香港、日本、カナダの学校のそれぞれで印象的な思い出はある?

兄:まあ、僕は学校生活の人付き合いは広く浅くというよりは狭く深くっていう感じだから、本当にその、同じクラスでも仲の良い人っていうのは限られてきて。その仲良い人と深くっていう感じだから、友達の数っていうことでいったら、そんなに増えないかな。

母:思い出は?

兄:日本の修学旅行は印象的だったよね。こっちはあんまりそういうのないから。イベントという点では日本の学校がいいかも。

母:香港の学校もイベント多かったでしょ。

兄:そうそう、Hotpotとか、プールで水遊びとかね。カナダは1年過ごしてみたけど、そういうイベントは全然なかったから。

母:運動会もないんだよね?香港ではスポーツデイもあったけど。

兄:うん。運動会もない。

母:弟君は?

弟:幼稚園はあんまり覚えてない…。そういえば、(香港の)幼稚園の時、誕生日の時に自分の好きなケーキが選べて、僕が「バニラケーキ」がいいって言ったら「バナナケーキ」が出てきた。美味しかったんでいいんだけど、ほとんどの子がいつもチョコレートケーキを頼んでて、僕は「全員同じようなもの食って、飽きないのか?」と思ったね。「違うもの食え」と。白いものが好きなの僕は。日本の小学校は、喧嘩を見てると面白かった。喧嘩、売られたら買うの。

カナダは最初、「友達できねえだろうなあ」と思ってたらみんな優しくしてくれて、よかったなあと思って。こっちではいじめがないなあ。こっちの人は喧嘩しねえのかなあと思ってたら、する子もいて「面白い!」と思ったけど、「そんなすぐに終わっちゃうのか」って感じだった。

母:日本はすぐに終わらなかったの?

弟:日本はずっと戦ってますよ!本当に面白い。みんなが見てるの、日本の戦いは。まあ、いつもの戦い方は髪の毛を引っ張り合うというやつ。「やめろよ、痛いな、やめろよー」っていう、これを見てると傑作なの。

母:(笑)

兄:盛ってんだろ、それ。

弟:本当です。

母:すごいね、激しいねえ。

弟:激しいよ。上靴投げるやつもいるし。女の子に当たったよ。

兄:僕があの小学校にいた時は、暴れん坊な子もいたけど。それでも椅子投げるくらいだったからねえ。

弟:上靴とは桁違いだよ!

母:すごいねえ。

兄:それは低学年までだけどね。

弟:いやいや、5年生くらいでも上靴で殴るよ。

兄:嘘だね。

弟:あんた見たことないでしょ!

母:まあまあ、今日はここまでに。貴重なお話を聞かせてくれて、ありがとうね。

兄、弟:ありがとうございました。

母:また次回、よろしくお願いします。

兄、弟:よろしくお願いします!

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