不妊治療

香港不妊治療体験記06


不妊治療

筆者: 不妊治療を経て2児(双子)の母

For Mumsの「健康」カテゴリーに「不妊治療アンケート回答」もありますのでご覧ください。

 


香港不妊治療体験記06

⑥ 「体外受精② ~ ダーツ注射の日々!」

退院後は受精卵の個数、状態を見ながらこれらを戻す日程が決められます。理想的には受精から5日目、受精卵が100個くら いの細胞に分割した段階(胚盤胞と言うそうです)で戻すのが一番いいそうですが、受精卵の個数が少なかったり状態があまりよくなかったりすると、受精から 3日目に戻します。結論からいくと、我が家の場合は計4回の体外受精で3日目が2回、5日目が2回でした(妊娠に至った4回目のときは5日目)。なお、サ ナトリウム病院では受精卵が着床しやすいように受精卵の殻の部分をレーザーで少し薄くする、という作業もしてくれます。これはオプショナルで費用もかかる のですが、少しでも成功の確率が高まるのであればということで我が家はお願いしました。(ちなみに私の卵の殻は「通常より分厚め」だったそうです。ちょっ と「面の皮が厚い」と言われているようで少々恥ずかしかったです。)また、戻す受精卵の個数ですが、日本と違ってあまり多胎児への抵抗がないようで一度に 複数個を戻すようです。先生によっては2個までという先生も聞いたことがありますし、最近聞いた経験者は4個を戻したそうです。我が家の場合、戻す日には いつも2~3個しか生存していなかったので、いつも残っていたものをすべて戻すということになりました。受精卵を戻す段階でまだたくさん卵が残っている場 合は、①将来また妊娠を目指すため凍結、②廃棄、③研究のために寄付する、のチョイスがあるようです。

さて、受精卵を戻す日が決まるとまた病院へ。今度は麻酔はしませんが、お腹の上から超音波を当てながらの作業となるので、 「膀胱に尿をためた状態にしておくように」と指示されます。これが非常につらくて、たとえば先生が予定時間より遅れたりすると、手術室の横で待ちながら 「まだですかぁ~」なんて情けない声を出しながら足踏みすることになります。この作業自体はあっと言う間に終わり、再びお部屋で横になってしばらく待って から退院となります。

受精卵を戻してからは、とにかく「待つ」の日々となります。が、私の場合はこれまた周期の後半に出る「プロジェストロン」 のレベルが低いということで、人工授精のときに利用した挿膣剤に加えて注射での追加投与も行いました。今では「改良」されてずいぶん打ちやすくなったこの 注射ですが、当時は完全な油質で、太い注射針でオシリの筋肉に「ダーツのように」勢い良くぶすっと刺します。インシュリン針でさえ自分のお腹に刺せなかった私がこんなものを自分でできるわけはなく、これもサナトリウム病院で看護婦さんにダンナの前で実演してもらった上で毎日ダンナに打ってもらいました。も ちろん、これも自分でなさる方はたくさんいるようで、前述した知人も彼女自身が出張をたまにしていて、その際には自分で自分のオシリに指していたそうで す。なお、ご主人にこの注射をしてもらう方は必ずご主人に看護婦さんのデモンストレーションを見てもらうことをお勧めします。怖がってそろそろと注射針を入れていたのではかえって痛い目にあうのがこの薬。いかに勢い良くぶすっといくのかを見ておくことが大切かと思います。再び前述の知人はご主人が1回目の ときに怖くて針を全部入れずにお薬を入れたため、お尻の表面に水ぶくれ(油ぶくれ?)のような形で薬があふれ出し、2人目を生んだ後でも(この事件から2 年半ほどたった後)彼女のお尻にはこのときのアザが残っていたそうです。このプロジェストロンは、妊娠した場合安定期に入るまで続くのですが、私はひどい ときは量が普通の人の倍、朝と晩の2回注射という状況でしたので、この間は私のオシリはそれはそれは紫、青、赤のものすごい色に腫れ上がっていて、かなり痛くて座るのもつらいときがあるほどでした。実際に妊娠して子供たちが生まれた後(注射をやめて何ヶ月もたった後)でも私のオシリにはあざが残っていた記 憶があります。このほかにも着床を助けるとされるアスピリン(子供用)を毎日飲んだりと、ありとあらゆるお薬が使われます。4回目の挑戦の際にはさらに一 歩進んで血液を薄める効果のある薬(アスピリンと同じ作用、子供用アスピリンは心臓発作予防に、ヘパリンは心臓発作などの治療に通常使われるそうです)で あるヘパリンを毎日注射(インシュリン針)で投与していたほか、ステロイドまで数回使用しました。アスピリンやヘパリン、およびステロイドは科学的にどう いう作用で妊娠を助けるのかは不明なのだそうですが、実際に着床と妊娠の維持を助ける作用があることだけは証明されていて、先生に言わせると「副作用によ るリスクよりも妊娠・出産に向けたベネフィットのほうがはるかに大きい」とのことで、かなりの病院で利用されているようです。

妊娠判断検査をするのは受精卵を戻す日にかかわらず採卵からちょうど2週間たってからで、Women’s Clinicの場合はいつも血液検査でした。病院によっては2週間以上たってから尿検査で行うところもあります。さて、朝一番に血液検査に行くと約2時間 ほどでクリニックの看護婦さんが結果を電話で知らせてくれます。失敗した最初の3回の電話の内容は「結果不明なため再検査に2日後に来てください(妊娠ホ ルモンが検出されたものの少ないため見極めのため再検査)」、「微量のホルモンが検出されましたがあまりにも量が少ないため失敗と思われます」および、 「失敗」でした。ちなみに、受精卵が着床しないと妊娠ホルモンは全く分泌されないため、「再検査(結果として失敗)」のときと「微量すぎて失敗と思われ る」のときは、一旦着床したもののその後育たなかった「化学流産」であったと見られます。正直、この電話を受けたときが不妊治療の中で一番「落ち込む」と きで、さすがに3回目でだめだったときはそのまま治療を続けるべきかどうか、夫婦でかなり悩みました。

Related Posts

發佈留言