香港子育て回顧録 -これまでも、これからも

ゴジラのレポート

ゴジラのレポート

香港子育て回顧録 -これまでも、これからも

白井純子 

愛知県出身。大学では日本国文学科専攻。北京電影学院留学中に香港人である現在の夫と出逢う。長男を東京で、次男を香港で出産。

2014年夏に9年間暮らした香港から大阪に帰国。帰国後に保育士資格とチャイルドマインダーの資格を取得。

2019年夏から息子達の留学のためバンクーバーに滞在中。現在の関心ごとは「Sustainability」。

 


ゴジラのレポート

珍しく次男が宿題を手伝ってほしいと言ってきた。珍しいのは宿題があるということだ。普段は家で勉強をすることはない。どんな宿題かと思ったら、ゴジラの歴史をレポートにしたいのだと言う。クラスでそれをモニターに映し出してプレゼンテーションをするから、PCでゴジラ画像を取り入れたレポートを作って、USBに入れて学校に持っていくとのこと。少し驚いてから、「カナダに留学させてよかったわ」という思いを噛みしめ、全面的に協力した。

彼が作る「ゴジラの歴史」レポートは主にゴジラの身長の変化について書かれていた。ゴジラといえば、原子力爆弾の影響で突然変異から生まれた生物という設定だ。世界唯一の被爆国日本からの留学生として、そこに触れてほしかったのだが、大人目線で口出しすることをぐっと我慢して、彼の書きたいように書かせ、スペルや文法のみチェックした。

なぜゴジラなのか。それは次男がゴジラ好きだからだ。クラスメイトたちは各々自分の好きなテーマでレポートを作成してくる。そして、発表する。自分の好きなものを調べられる上に、その魅力をみんなに伝えられるのだから、楽しくないわけがない。普段はスマートフォンでことを済ましてしまう次男が、初めて家でPCをタイプした。学校の授業ではPCを使うことも多いようで、キーボードの文字列もなんとなく分かっているようだった。買ったばかりのUSBにレポートを取り込むと、よほど嬉しかったのか、USBに紐をつけてネックレスにして持ち歩いていた。

アジアから来たばかりの留学生にとって、カナダの学校で習う算数はすでに学習済みのレベルで簡単だ。正直、数年ここで過ごした後に帰国する場合、算数などの科目はキャッチアップに時間がかかるだろう。カナダ滞在中から塾や家庭教師などで補習が必要かもしれない。しかし、社会に対する興味を養い、自分なりの考えを持って探求することや、年下や年上の子ども達との付き合い方を学ぶことは、長い目で見た場合に人生をより豊かにすると思う。それが、生活の質を高めることになるのだろう。我が子が働きアリになることを望まない母としては、 AIが台頭してくる次世代を生き抜くためにも、思考力とコミュニケーション力に重点を置いた学習を選択したいところだ。

ゴジラレポートの発表は、まだ次男の順番が回って来ていないためにお預けとなっている。彼の発表にクラスメイト達がどう反応するのか楽しみだ。報告が待ち遠しい。

Related Posts

發佈留言