オンライン学習

子ども達の学校がCOVID-19のために休校になり、今月から本格的なオンライン学習が始まった。幸い長男は私のサポートがなくても支障なく学習を進められているようで一安心なのだが、次男はさすがに手伝ってやる必要がある。毎朝先生から届く「Today’s Design」にその日の学習内容が示され、算数はビデオ学習や課題、ライティングでは俳句や詩などを作成、リーディングでは読書とその感想文などを書き、サイエンスでは３日に一度くらいは外に出て自然生物の観察。それぞれの科目で出される課題を期限内にオンラインで提出する形だ。

最近私を最も悩ませているのがソーシャルスタディー、つまり社会の課題だ。COVID-19におけるカナダ政府の政策を知り、他国と比較した上で、どの国の政策が最も効果的か、そしてなぜそう思うのかを記す。最終的にはプレゼンテーションができるように資料を作成しなければならない。これが小学生の宿題なのかと驚かされる。留学生だから難しいのか。ローカルの子ども達は自力でこの作業ができるのか。教科書を読んでワークブックに正しい答えを書くというありきたりな学習方法が、ここではほとんど行われない。

カナダと日本のCOVID-19に対する政策の違いについては、この課題が出されるずっと前から見守り続けてきた。カナダのトルドー首相は毎朝生中継で会見を行い、政府の政策や国民への経済支援についてカメラをまっすぐに見据えながら話している。これを書いている４月中旬の時点で、多くのカナダ国民がすでに救済金を手にしていた。日本はというと、すでに行われた支援は各家庭に配給された布マスク２枚。今朝のニュースでは、そのマスクが小さすぎて成人男性は使えないという情報と、妊婦に配布されたマスクの中に髪の毛が混入していたり汚れがあったりして2000件近い苦情が厚生労働省に寄せられたという情報を知った。国民全員に支給される予定の給付金についてはまだ詳細が決まっていない。今後に期待したい。

可能ならば、母国の状況を誇らしく思いながら資料を作成したいものだが、現時点では難しそうだ。それにしても、政治問題や国際問題を身近な題材として、幼い頃から考える機会を与えることは素晴らしいと思う。社会という教科は、人々が幸福に暮らせる環境や状態を作り出すための学習なのだと改めて気付かされる。理想的な社会を作るためには、一人ひとりが思考することが不可欠だ。知って、考えて、動くことができる国民が多いほど、その国は成熟するだろう。

難しい単語ばかりが出てくる英語の資料を、次男が分かりやすいようにまとめてやろうと思う。ただ、考えるという作業だけは本人にやらせるつもりだ。