香港子育て回顧録 -これまでも、これからも

食の冒険

食の冒険

香港子育て回顧録 -これまでも、これからも

白井純子 

愛知県出身。大学では日本国文学科専攻。北京電影学院留学中に香港人である現在の夫と出逢う。長男を東京で、次男を香港で出産。

2014年夏に9年間暮らした香港から大阪に帰国。帰国後に保育士資格とチャイルドマインダーの資格を取得。

2019年夏から息子達の留学のためバンクーバーに滞在中。現在の関心ごとは「Sustainability」。

 


食の冒険

大阪から実家のある愛知県への引っ越しの後、さらに実家からカナダへの引っ越しを猛暑の中たった半月の間に行い、体力的にも精神的にも疲労困憊したせいか、かなり痩せこけてしまった。SNSにアップした私の写真を見た数人の友人が「痩せたね」と連絡をくれるほど、はっきりと見て取れる容姿の変化があったと思う。「太ったね」と言われるよりはずっと気は良いのだが、アラフィフ女性としては健康上の問題が気がかりになったりもして、こちらでの生活リズムが整うまでは若干の不安を胸に秘めていた。

借りている部屋の道を挟んだ向かいにカナダ系の大手スーパーマーケットがあり、かなり便利なのだが、置いてある商品が当然ながら日本とは違う。自炊を始めた頃は少し戸惑いも感じた。ミートボールにサラダとパンを添えてみるような食事をワンプレートで作ってみて、自分でも「場所が変わればメニューも変わるもんだなあ」と思ったほどだ。子ども達の学校が始まり自由な時間ができた頃に、近所にあるスーパーマーケット巡りをして大きな収穫を得た。この辺りには大きく分けて、カナダ・アメリカ系のスーパーマーケットと、中華系のスーパーマーケットの2種類がある。しかも、中華系スーパーマーケットでは日本食材も充実しており、納豆やちくわ、味噌や焼きそば、カレールーにシチュールーまで置いてある。しかも北京や香港に住んだ経験のある私は、その惣菜コーナーに「涼拌海帯」や「叉焼」などを見つけ、嬉しさで一人悲鳴をあげた。

それからは、テリヤキチキンとお味噌汁とか、納豆ご飯と肉野菜味噌炒めとか、完全に日本にいた頃と同じような食生活を送れるようになり、食欲も復活し、体重も元どおり。すっきりとしたぺったんこのお腹が遠い夢のようだ。

香港も日本人にはかなり暮らしやすい街だった。お菓子や調味料などの食品はもちろん、洗濯洗剤やベビー用オムツまで、手に入らないものはないくらいに日本製品が揃っていた。そしてここカナダも、中華系の人々のおかげで値段を気にしなければ香港同様に日本製品が入手できる。もちろん、郊外でその需要がない地域では状況が異なるだろうが、少なくともアジア系の人が多く住む地域では、アジアの食品は簡単に手に入るように思う。

この街にはベトナム料理、シリア料理、ギリシャ料理など日本では見ることが少ない国々のレストランがさりげなく店を構えている。移民の国だと改めて感じる。さあ、食の冒険に出かけよう。新しい味の発見があるかもしれない!

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